10 「銀の太刀、群青の弓」
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、ハンターの礼儀なんじゃないですか」
「……ああ」
ここでやっとナギも気づいた。何故怒ってるのかって、そんなに根こそぎ剥ぎ取るなということか。
それじゃあと謝ってジャギィたちの方へ行くが、また声がかかった。
「だ、ダメですっ! とった素材を戻しに行くなんて、モンスターに対する冒涜ですよ!」
(……めんどくさ)
なんなの一体。取るなと言ったり返すなと言ったり。
「じゃあどうすればいいのニャ」
ナギの心境をルイーズが代弁した。くるりと振り返れば、わたわたと慌てているリーゼの姿。とりあえず、
「…すまない。次から気をつける」
謝っておこう。軽く頭を下げると、リーゼはぶんぶんと首を振った。もげやしないだろうか。真っ赤になってお辞儀をしまくった。
「いえ! こ、こちらこそすみません! あの、こんな新米が、しゃ、しゃしゃり出て!」
「いや、こっちこそ」
(…根は悪くない娘なんだよな。ちょっと一生懸命なだけで。…多分)
気を取り直してエリザとやらが待つベースキャンプへと向かうと、いつぞや竜車で問答した藍色の髪の少女が出迎えた。私服に弓をかついでいるのがなんとも言えずシュールだ。エリザはナギを見るなり目をくわっと見開くと、本当に怪我人か訊きたくなるような俊敏さでこちらに駆け寄ってきた。
「それっ…その弓!!」
何を言われるか身構えたナギは、ポカンとする。リーゼロッテは慌てたようにエリザを抑えるが、我を忘れてぴょんぴょん飛び跳ねている彼女に制止の声は届いていない。
「まずは車にのって、エリザ! 話はそこでいいでしょ!」
「絶対よ! 早く乗りなさい!」
ガッと手を掴まれたナギは、ぴしりと固まって振り払うこともできずにずるずる引きずられていった。後ろからあわてたようにリーゼが縋ってくる。
ガーグァ車が発進するやいなや、エリザはナギにずずいと詰め寄った。その分だけ後ろに後退していくナギだが、いつの間に彼の肩に乗っていたルイーズが助け舟をだしてくれた。
「弓がどうとか言ってたけど、ニャんの事ニャ?」
「見せなさい! いえ、見せてください! お願い!」
「えっと、エリザの家、鍛冶屋なんです」
困惑する1人と1匹におずおずとリーゼロッテが説明した。つまり、ハンターの持つ武器や防具はなんでも1回目にしないと気がすまない性質らしい。特にそれが自分の使う弓の場合、我慢ならないようだ。
半ば奪い取るようにナギの弓を受け取ると、開口一番いきなり悲鳴をあげた。いや、これは歓喜の叫びである。
「きゃあああ! すごい、すごい! これ、あんた見た!?」
ぶわっと髪を鞭のようにしならせながら横に座っていたリーゼに問いかける。やや頬を引きつらせなが
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