10 「銀の太刀、群青の弓」
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下ろす。ナギは頷いた。なんとなく無理をしていそうなのはわかったが、ハンターなら最低でも受身は取れるだろうし、何より自分が言及して言い合いになるのは避けたかった。ただ、ちらりと少女を見て一言アドバイスする。
「腰を引かない。受身を取ることだけ考えて。ジャギィは俺が一掃するから」
「は、はいっ」
「じゃあ、いつでも」
飛び降りて。
瞬く間に弓を展開したナギは、一瞬で矢を引き絞る。絶妙な高さを狙って射られた矢は4連射で、ジャギィ達に吸い寄せられるように飛んでいった。びっくりしているリーゼの前で、3本は目標に着弾する。脳天、脳天、首。最後の一矢はたまたま立ち上がったジャギィノスの胴に刺さり、悲鳴を上げるにとどめた。この間1秒未満。
まさに一撃必殺。エリザや彼女の姉オディルも一流の弓使いだが、彼ほど鮮やかな手並みは見たことがなかった。
(あ、お、降りなきゃ!)
こんなところで惚けている場合ではない。ごくりと喉を鳴らしながら覚悟を決めると、えいやっと飛び降りた。
(こ、怖…っ、受身っ)
ばっしゃ――ん
盛大な水しぶきをあげながらもなんとか受身をとって怪我なく着地できたのも、事前に頭が真っ白になるのを予想していたのか、ナギが助言してくれたからだった。残っていたジャギィノスをみようとグラグラする頭で前を見ると、頭を貫通したそれの姿が見える。矢は見事に目を捉えていた。
(なんて…精密な……)
精密射撃のスキルでももっているのだろうか? いや、あれは確かボウガン専用だった。ということは、20mの距離からジャギィノスの小さな目を狙撃したのは全て彼自身の腕となる。
すごい。
チャプン、と音がすると、ナギがちょうど着地したところだった。
(あれ?)
「水面に垂直に足を入れるニャ」
「えっ?」
「今、ニャんで音が小さかったか疑問に思ってたニャ? あれはつま先から垂直に着水することで水音をたてにくくしてるニャ。それでいて膝も柔らかくつかって、衝撃音を殺してるのニャ」
いつの間に足元に寄って来ていたルイーズが、リーゼの心を読んだかのように説明してくれた。
「自然の中で生きるには、ちょっとした音にも注意しニャいとすぐ敵にみつかるニャ」
すっと立ち上がったナギは、まだちょっと足が痺れているリーゼを気遣って河原で待つように言ってくれた。その間にジャギィ達のもとへ行き、素材を剥ぎ取っている。皮、牙、骨。リーゼたちハンターが剥ぎ取るよりも多くの素材をとっていた。思わず厳しい表情になる。帰ってきたナギに大分治ってきた足で立ち上がると、その表情のまま言った。
「あの、素材を取りすぎじゃないですか」
「え?」
「自然に感謝して、ほんの少しその素材を“おすそ分け”してもらうのが
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