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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
10 「銀の太刀、群青の弓」
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可能性の方が圧倒的に多いが、ここで述べたいのは、撃った後は兎も角として、撃つ過程までは素人にもできるということである。下手をすれば子どもも可能だ。
 何せ、トリガーを引けるだけの握力があればいいだけなのだから。
 対して弓はそうはいかない。
 弓とはかなり原始的な仕組みの武器だ。しなやかな弓身(ゆみ)に弦を張って限界まで引き絞り、反動を利用して矢を勢いよく発射する。そこには火薬も何も無い、威力の全ては弓とハンターの腕に左右される。いくら世のハンター達が超人的なスタミナや技量を持っていても、所詮彼らも人間、人の腕力が火薬に叶う筈もない。
 ましてや相手は飛竜や牙獣。下手な威力では掠り傷すらつかない堅固な鎧を、生まれながら身に付けているような化け物(モンスター)共である。少しでも威力を大きくしようと、古人達は改良を重ねた。
 結果たどり着いたのは、至ってシンプル。“弓矢自体をより頑丈に、大きくすればいい”である。
 そうすると次に湧いてくるのは持ち運びの不便さであって、それもまたシンプルな仕組みで解決される。すなわち、“大きいなら半分に折ればいいじゃない”。
 そんな訳で、ハンターが使う弓は通常半分に折り畳んで持ち運ぶのだが、戦闘の最中に間違って折れてしまうのは非常にマズい。そこをモンスターに追い討ちされたら、装甲の薄いガンナーには手も足も出ない。いかにヒットアンドランを繰り返すかがガンナーの戦い方なのだから。
 説明が長くなったが、つまり言いたいのは、弓の収納には意外に技術が要るのだ。ガンナー志望のハンター候補生が習うことがらの1つが、“片手での弓の展開・収納”である。エリザも半年前には1日に何百回も、ただ家で背中から弓を出しては仕舞い出しては仕舞いを繰り返す日々を送っていた。
 リーゼロッテも何回かやってみたことがあるが、数回やった程度で身につくものではないことがわかって終わった。

(でも、男の人で弓は珍しいな)

 今の時代男女問わずハンターになれるが、それでもやはり男女比としては男性の方がずっと多い。そして彼らは大概剣士職を選ぶ傾向にあった。自分の力が直に伝わる上に、モンスターに与えられるダメージの量も多いからだ。
 逆に多くの女性ハンターはガンナーとなる。男性に比べどうしても非力になる彼女達も、ボウガンならば常に一定のダメージを与えることができるからである。おまけに弓より威力も高い。
 もちろん弓の長所もある。矢を引く際、ボウガンに比べ圧倒的に消音性が高いという点だ。また火薬のにおいが体につかないため、モンスターに気づかれにくいというのもある。これは多くが嗅覚が発達しているモンスターを相手にするとき、大きな意味を持つ。自分がまだ敵を見つけていないのに、敵は風で自分の存在を知ることができてしまうからだ。いきなり奇襲され
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