10 「銀の太刀、群青の弓」
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(弓と、太刀?)
「誰かと一緒に住んでるんですか?」
「…いや?」
それだけ言うと、外へ出ていった。
「豪華料理だニャ! にゃっふー♪ にゃっふー♪ にゃっふっふー♪」
ルイーズはというと、先程までの反対姿勢はどこへ行ったのか、メラルーがよくやるあの踊りを踊りながら開けっ放しの扉から出ていった。
再び壁に立てかけてある太刀をみやる。明らかに使い込んだ形跡があった。
鈍く光る銀色のそれは柄の部分に赤いリボンが結んであり、どうやら滑り止めの役割を果たしているようだった。鞘と柄の間からギザギザとした牙のような何かが見える。鍔の役目だろうか。思わず手を伸ばした。鉱石特有のあの冷ややかな質感ではない。これは、寧ろ――
「行こうか」
びくりと肩を揺らして振り返った。扉の上部に手をかけて、家の中を覗き込んでいる背の高い影を見る。逆光で、表情はわからない。
咄嗟に手を引いたが、触ろうとしていたことには気づかれなかっただろうか。
最後にその太刀をちらりと見てから家をでた。あのナルガクルガという黒い飛竜に会ってみたかったのだが、どうやらいないらしい。ナギという青年は手にとった弓を背にかけて、ムニャムニャと顔をこすっているハナと何か会話をしていた。リーゼと喋る(というほど会話した覚えもないが)ときより明らかに朗らかだ。
あの銀色の太刀の素材は、モンスターから剥ぎ取った何かだろうと確信した。人の身の丈ほどもある長い太刀は、ハンター達が使う“太刀”――対モンスター用の武器としか考えられない。思わずリーゼは背に背負った己の得物に手を伸ばした。
(それなら…)
ナギの背にある弓に注視する。矢の発射口には群青色の牙があり、そのほかはやや黒ずんだ素材で作られている。少なくともリーゼロッテに見覚えはなかった。が、これは明らかに対モンスター用の狩猟弓である。背負いなれている感があるから、きっとあの弓は彼のものなのだ。
レイアから逃げるとき、エリザの弓を片手で器用に畳んでいたのを思い出した。
(弓使いなら、できて当然だよね)
ハンターが扱う武器は大きく二種類――前衛職の剣士と、後衛職のガンナーに分かれる。ガンナーとはライトボウガン、ヘビィボウガン、弓のいずれかを得物とするハンター達の総称であるが、中でも弓は少々特殊な造りとなっている。
ボウガン系は“ボウガン”とは名ばかりの、実際持ち運び可能な軽量大砲のようなもので、仕組みは単純。弾を込め火薬に着火、引き金を引けば相応の威力でもって直線上の敵を撃ち抜く。
ライト/ヘビィで反動の差はあるものの、要するに同じだ。正直な話、ハンターでないただの村人も撃とうと思えば撃てる。もちろん反動に耐えきれず骨折したり横転して、一撃見舞って戦線離脱選手交代となる
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