神器
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や”ミドガルズオルム”までも売り払って、やっとのことで借金を返し終えたということだ。流石のエリカも、これには同情する。
ここで重要なのは、世界屈指の魔術結社であった【神殿教団】でさえも、売り払った神器は僅かに一つだということだ。儀式用の神具などは数十点も売りに出たというのに。
これは、神具というのは、神々が使う武器や道具全ての事を指すが、神器というのは波長さえ合えば、神々や人間、魔人の区別なく使えるということに起因する。つまり、態々自分以外の為に強力な武器類などを造る、物好きな神々など、そうそういないということである。
その為、神器という物は、非常に貴重で高価だ。人間でも使える神々の兵器なのだから、当然である。そんな物を、何故護堂が持っていたのか、非常に気になっているエリカであった。
「・・・でも、それが本当に神器なら、私たちにもチャンスはあるわ。どんな能力を持っているのかは知らないけど、それを使えば、まつろわぬ神を追い払う事が出来るかも・・・。」
「無理です。」
エリカの独白に、彼女は水を差した。考えを一刀両断されたエリカはムッとしながらも、理由を尋ねる。
「何故?」
「別に、エリカ様の実力の問題では有りません。あの神器は既に、使い手を決めてしまっています。」
「なっ・・・!?自分で使い手を選ぶ神器・・・!?」
エリカが驚くのも無理はない。神器の中には、自分で使い手を選ぶ物がある。・・・が、それは本当に極僅かであり、それらは総じて、能力が非常に強い。今現在判明しているのは、カンピオーネ【魔眼王】長谷部翔希の持つ”黒の剣”くらいである。それほどのレア物が、何故こんな場所に存在しているのか?
「一体・・・誰なの?認められたのは?」
「分かっているんでしょう?・・・彼、ですよ。」
「・・・。」
草薙護堂。【魔界】からやってきた、一般的な高校生・・・の筈の男だ。だが・・・
「まつろわぬ神の前に立ちはだかり、神器に認められるような人間が、唯の一般人だなんて・・・。【魔界】では普通なのかしら?」
「そんな事はない・・・と思いたいですが・・・。」
ないとは思うが、完全に否定することは出来ない。何せ、前代未聞の『カンピオーネ四人同時爆誕』をしてしまっている国なのだから。魔窟と言っても差し支えない国だ。もしかしたら、コレが日本の現在の『当たり前』なのかもしれないと、彼女たちは背筋が寒くなった。
「・・・と、ところで、どんな能力かは分かっているのかしら?」
無理やり話題を変更するエリカ。
「そ、そうですね。・・・これを見てください。」
そう言って彼女が取り出したのは、護堂の傷口を写した写真だった。
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