21*甘い誘惑
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の青いおだんご頭の女性も、無言でスフィーを見据えている。
「スフィーさんを責めないで下さい。つきましてはこれを……」
そう言ってシルバが取り出すのは、さっきナルミが作ったホットケーキの余りである。
まだ地味にほんのり温かく、中に花の蜜を混ぜこまれているそれは甘く上品な香りを醸し出している。
「な、なんですかそれは……」
初めて見るそれから漂う香りを嗅ぎ、それにともなって溢れる唾を飲み込みながら隊長はシルバに質問する。
「これですか?これは“ほっとけーき”というお菓子です。今までに無い、カナムの花の蜜を混ぜたとっても甘く美味しいお菓子です。」
シルバが言い終わると三人から生唾を飲む音がした。
そして彼女達の様子を見て、シルバは残念そうな表情を作り
「でも邪魔ならば私はすぐに戻ります、失礼いたしました。」
そう言ってそそくさとホットケーキをしまおうとするシルバ。
それに対して隊長が
「ま、まって!……あ、うー…この事は私たちだけの秘密だからね。」
まんまと策略にのせられたのであった。
「実は自分、長い休暇が欲しいのです。」
ナルミが魔王へと要求したもの、それは余りに予想外のものであった。
近衛隊とシルバだけか、魔王と王妃すらも訳がわからずに顔をしかめている。
「…ナルミ様は何が目的なんでしょうか……モフモフ…」
「さすがに私も今先生が何を考えてるかはわかりません。」
「本当に美味しいですね、このほっとけーきは……マフマフ…」
ただしかめながらも、近衛隊は皆揃ってホットケーキを頬張っているから緊張感がまるでない。
そして、しばらくの沈黙ののちにナルミがこう切り出した。
「理由は自分がここに来た原因にあります。いくつか話せない事がありますが、そこはご容赦下さい。そして何卒この事はご内密に。」
そして、ナルミは語りはじめた。
***********エ☆
「…グズッ…………」
「……エッ…エグッ……」
「………スン……」
「…ふぇ……グスン……」
ナルミの語る内容は壮絶なものだった。
まず昔の人間の戦士、セタ・ソウジロウが封印した闇の賢者の城が霊域となり、そのせいで魔物達が凶暴化してしまうと言う事。
そして闇の賢者の魂が魔獣として復活してしまったと言うのだ。
ただ、これは誰もがさして問題として見てはいなかった。
確かに危険で大変な事だが、これを解決するのがあのナルミだからである。
ぶっちゃけ、一撃で魔獣を真っ二つにしたナルミが解決できないとは思えないのだ。
しかし、問題は別にある。
「ぜ、ぜんぜーは…ヒック…かわいぞうずぎまず…」
そう、彼がこの国に来た理
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