壱ノ巻
幕間
壱
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「カーット!」
「お疲れ様でーす」
「お疲れ、速穂」
速穂が顔を上げれば目の前にはタオルを持った瑠螺蔚がにっこりと笑顔で立っていた。
「あぁ・・・ありがとう」
速穂はありがたく受け取って、軽く笑い返す。
「瑠螺蔚さん!」
「あら高彬、お疲れ様。あんた今日撮映あったっけ?」
「ないよ!僕は速穂の話だと出番は皆無だからね!」
「いばんな」
「そんなことよりなんで幕間が速穂から始まるのさ!」
「『戦国御伽草子・壱ノ巻』が速穂のシーンで終わったからよ」
「ぐ・・もっともな・・・だけど!普通ははじめての幕間なんだから僕と瑠螺蔚さんのツーショットから始まるべきじゃないの??なのに何が悲しくて速穂と瑠螺蔚さんのいい雰囲気から始まらなきゃいけないのさ!」
「まあ、人気の差?」
「ーーーーーーーーー(ガーン)」
「それくらいにしてあげてください」
「あら鷹男、お疲れ様。あんたも撮影ないでしょ?」
「今日は壱ノ巻が終わった打ち上げで呼び出されたんですよ。高彬も」
「るらいおねーちゃーん」
「おねーちゃん」
走ってくる小さい塊を二つ瑠螺蔚は抱きとめた。途端に高彬が声を上げる。
「ずるい!」
「・・・・・高彬・・・」
高彬を見てあきれた声を出す鷹男。
「ちびるらいとたかあきら。おつかれさま。あんた達も打ち上げ行くの?」
「七時までだったらいるー」
「いこーおねーちゃん」
「いこー」
「ちょ、いくから!行くからあんま引っ張んないで!あたしまだ着物のまま・・・!!」
「では、改めまして」
「「「「おつかれさまーーーー」」」」」
カチン、カチンとグラスとグラスの鳴る音が響く。
「で、瑠螺蔚さんは着物のままなんだ」
「ったくうっさいわね。ちびるらいとたかあきらが引っ張るから着替える暇なかったのよ」
正座した瑠螺蔚の膝の上にちびるらいとたかあきらがちょこんと片方ずつ乗っている。
「姫、それでは足が痺れるのでは?ちびたかあきら、こっちにくるか?」
苦笑した鷹男が横から声をかける。
ちびたかあきらはそんな鷹男をちらりと横目で見てからぎゅうっと瑠螺蔚の袖を掴んだ。
「私は嫌われてしまったようですね。悲しいな」
「あんた
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