第二幕その三
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それを聞いたピツァロの身体がワナワナと震えた。
「ならば死ね。二人共な」
小刀を振り上げる。しかしレオノーラも負けてはいなかった。
「死ぬのは御前だ!」
「ぬっ!」
ピストルを取り出してきた。それでピツァロの動きを止めた。
「これでも動けるというのか!」
「ぬうう、小癪な真似を!」
「少しでも動いたら撃つ!その時こそ御前の最後だ!」
本気だった。それがわかるからこそピツァロは動きを止めた。歯噛みするしかなかった。
「さあ、どうする!?」
「ぬうう・・・・・・」
ジリジリと下がりはじめた。それが何よりの証拠であった。彼は敗れようとしていた。
「道を開けろ、邪悪な者よ」
「・・・・・・・・・」
「開けなければ御前に死を与える」
「させるものか」
「では死ぬつもりか」
「おのれ・・・・・・」
暫く睨み合いが続いた。だがそれは上の方からラッパの音が聞こえてきた。
「これは」
まずロッコが顔を見上げた。
「大臣が来られたというのか」
「おのれ」
ピツァロはそのラッパの音と大臣という言葉を聞いて呪詛の声を漏らした。
「もう少しというところで」
「悪は正義の前に崩れ去る宿命」
レオノーラは彼に対してそう言った。
「これが御前の宿命だったのだ。諦めるがいい」
「まだ言うか、この女は」
最後のチャンスに思った。小刀を振り下ろそうとする。しかしそれはレオノーラの持っている拳銃により動けはしない。それが一層腹立たしかった。そうこうしている間に上の方から足音が聞こえてきた。
「むっ」
それは一つではなかった。複数あった。ヤキーノと兵士達が松明を持ってこちらにやって来ていたのであった。
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