第一幕その六
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どうなるのでしょうか」
「私の許可なく外に出すことはできん。すぐに中に戻せ」
「わかりました。それでは」
ヤキーノが合図をする。すると鐘が鳴り囚人達はそれを聞くとうなだれて牢獄の中へと入って行った。皆非常に悲しそうな顔をしていた。
「折角外に出られたのに」
「これが牢獄なんだ」
囚人達を見て悲しそうな顔をするマルツェリーナに対してヤキーノがそう声をかけた。
「それはわかっているだろう?」
「けれど」
それでも彼女は不満そうであった。それは彼女の心根故であった。
「それでは短い間だったが」
フィデリオが囚人達の誘導をはじめた。
「早く戻れ。いいな」
「わかりました」
囚人達は力なく牢獄の中へと戻って行った。皆項垂れ、沈んだ顔で中に入って行った。
ロッコはピツァロに従い牢獄の奥深くへと向かった。そしてフィデリオにも声をかける。
「早く来い」
「わかりました」
彼女はそれに頷き彼の後について行く。その途中意を決して呟いた。
「待っていてね、貴女」
一瞬だが女のような顔になった。
「必ず救い出してみせる」
そして牢獄の奥深くへと入って行った。まるでそこにいある何かを取り出そうというように。
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