第一話「真心を込めた謝罪」
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それを目にした途端、抑え込んでいた感情が爆発した。
「うぉおおおおお! ゴメンよ、ニンフゥゥゥゥゥ!」
「えっ? きゃあっ」
きょとんとしたニンフを抱き締める。女の子特有の柔らかな感触と何とも言えない良い匂いが鼻孔を擽った。
――俺は……俺はこんな可愛い子を虐めたのか……ッ!
原作によると、なんとピーターは退屈凌ぎのためだけに当時ニンフが飼っていた可愛らしい小鳥を、彼女自身の手で殺させるという残酷な所業を強いらせたのだ。それはピーターの記憶が裏付けしている。なんという酷いことを!
「マ、マスター……? あの、どうされたんですか?」
「くっ、俺の身を案じてくれるだなんて……なんていい子なんだ! うぉおおおおおん!」
エンジェロイドはその特性上マスターを恨めないとはいえ、酷いことを強いた俺の身を案じるなんて、なんか泣けてきた。俺はみっともなく号泣しながらニンフを頬擦りした。
「今まで虐めてゴメンよぉぉぉぉぉ!」
「あの、泣き止んでくださいマスター!」
頭を撫でられてなぜか俺が慰められる始末だ。ふと、他の皆がポカンとした顔でこちらを見ているのに気が付いた。
「イカロスゥ! お前にも酷いことしたよな! ゴメンよぉぉぉぉぉ!」
「マスター……」
今度はイカロスに抱きつき、オイオイと再び泣き出す。
彼女は無表情だが決して心が無いわけではない。寧ろ他の誰よりも優しい心を持っている。それなのに、あのバカチン(ピーター)はかつて彼女の手によって人間を殲滅させたのだ。無表情で自分の気持ちを表に出すことはあまりないため分かり辛いが、優しい彼女はきっと憂いたに違いない。
「……」
表情を変えずになすが儘となっているイカロスは後悔と罪悪感で打ち拉がれる俺の頭を優しく撫でた。それがまた、さらに俺の心を揺さぶる。
結局、俺は三十分かけてその場に居たエンジェロイドたちに、真心を込めた謝罪を延々と繰り返した。
終始戸惑っていた彼女たちだが一応謝罪を受け入れてくれたので、これでまずは一歩踏み出せたと思う。
これからの俺は今までと違う。新生アルカインとしての俺を今後の行動で示していかなければならない。彼女たちの本当の笑顔を見るために。
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