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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第二十八話 Die d?mmsten Bauern ernten die dicksten Kartoffeln.
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に出来たことは精々身を捻って受ける面積を減らすことぐらいであった。そして彼女は吹き飛ばされ、自身の実力不足に歯噛みせざるを得ない状況に顔を歪める。油断も慢心も無い彼女に付入る隙は無い。
既に二刀のによる戦いの癖や動作も把握していた。一度の接敵は認めようとも近づかれたときの対応そのものは完璧である。寧ろ態と接敵を許すことでその動きすらも頭にいれる。
元来接近戦でエレオノーレに勝とうと思うことそのものが無理からぬ話である。彼女を相手取るならば真っ向から打ち勝つだけの力が無ければならないのだろう。それでも螢は武器を手放すことなどせず、むしろ剣をより堅く握り締める。

「フフッ―――」

「貴様、何を笑っている?」

突然、笑みをこぼす螢。別段、勝機を見つけた等といったものではない。ただ何となく藤井蓮との会話を思い出してしまったのだ。

(初めて会った時にはベイにボロボロされてて、数日たっただけで形成にまで至ったことに嫉妬して……その前にタワーで少佐を案内している途中にも会ったけ。
ホント、馬鹿みたいに足掻いてて、私なんかよりずっと強くてさ……貴方からしたら大したことじゃないんだろうけど、私の顔が好みだって言うし。
……別に貴方の好みなんて如何でも良いけど綺麗だって言われたらやっぱり嬉しいじゃない。ちょっとだけお洒落とかにも気を使ってみようかしら)

そんな凡そ戦場で考えるようなことではないことを思い浮かべて、でもたったそれだけの事で戦えるような気がしていた。

「何度でも言いますけど、女としての自分を捨てた貴女にだけは負けられません」

「小娘風情が何を語れる。どいつもこいつも私の忠誠を恋だなんだと、それは私だけでなくハイドリヒ卿への侮辱だ。気に入らんよ、知った風な口を利き、部下を愚弄し、挙句私の忠をそのようなものと一緒にすることも。全く持って腹立たしい」

ルーンが描かれ、後ろに陣が精製される。感情の走るままとまでは行かずともそこに容赦というものはなかった。おそらく螢では耐えれぬであろう威力の砲。だが螢はそれを前にしても気概は全く変わらなかった。

「せめて華々しく散らせてやる。貴様の思想とやらは気に入らんが貴様は一端の戦士ではあった。口先だけのブレンナーとは違うと認めてやる」

「戦士?冗談じゃないですよ。私は唯の恋する乙女なんですから」

だからか、互いに相対しつつも空気が違った。方や煌びやかに燃える劫火であり、方や柳の様に凪いでいる燈籠であった。

「放てェいッ!!」

「ハアアァァァ――――!!!」

放たれる互いの必殺。しかし、エレオノーレは大きな過ちを犯した。櫻井螢を相手に手を抜いた心算は無かったのだろう。だが、それでも彼女は全力で螢を撃つべきだったのだ。一つの影が戦場を犯すこととなるの
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