立志の章
第3話 「正直に言おう。手に負えん」
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んな……」
「にゃ〜……そんな服があったら、岩でも粉々にできそうなのだ」
「実際できるよ? たぶん厚さ三、四十センチ……えーと、大体二尺? ぐらいの壁や鉄なら壊せると思う」
「そ、それはとんでもないな……」
愛紗が驚くのも無理ないのだ。
二尺の壁を砕けるなら、人の顔なんて簡単に飛ばせるのだ。
「まあ、力加減が難しいけど、ちゃんと訓練をしているしね。上限があがるだけで下限はそのままだから、訓練さえちゃんとやれば問題ないよ」
「その服を着るだけでそこまで……うーむ」
「あ、いっとくけどこの服、俺にしか使えないからね? 俺以外が着ても、機能が使えないように封印されちゃうから。ただの丈夫な服程度になっちゃうよ」
「そ、そうなのか……」
にゃ、愛紗がちょっと残念な顔をしているのだ。
きっと、着てみたかったに違いないのだ。
「まあ一刀も同じの着ているけど、あっちも俺のと同じ性能だよ。ただ、あれも一刀しか……」
「にゃ? どうしたのだ?」
「うん?」
お兄ちゃんが後ろを振り返ると、その場で固まったのだ。
どうしたのだ?
「……桃香が気絶してる」
―― 桃香 side 北平 ――
あれから二日たちました。
あの後、気絶してしまった私。
明け方になってようやく目が覚めてから、近くの邑で馬を四頭買いました。
ついでに荷車を購入して、盾二さんが即席の馬車を作ってくれました。
一刀さんを運ぶため、必死に作ったみたい。
もちろん私も手伝ったけど……借りた金槌がすっぽ抜けて一刀さんに当たりそうになった時、丁重にお断りされました。
グスン。
それから一昼夜かけて、ようやくお医者さんのいる北平の都まで着いたんです。
「やっとついたね〜結構、お尻痛かったよ〜」
「桃香様……少し下品ですよ」
「お姉ちゃんはお尻がでかいから、その分痛みも大きいのだ」
「そ、そんなことないよ! た、確かに動かなかったのに食べる量は一緒だから、す、少しは増えたかもしれない……けど! そんなに大きくないもん!」
「桃香様……道の真ん中でそんなに大声で叫ばれては」
「は、はわわわわっ」
は、恥ずかしいよう……でも、盾二さんは聞こえなかった振りをしてくれているみたい。
優しいなぁ……。
「ともかく、話に聞いた五斗米道とやらの医者を探しましょう。まずは彼……一刀殿を宿に移しますか?」
「ああ、そうしよう」
盾二さんが頷くと、馬の手綱をしならせ宿へと馬車を進めたんです。
―― 盾二 side ――
宿で一刀を休ませ、その付き添いを桃香にお願いしてから俺達は、三人でそれぞれ聞き込みをした。
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