立志の章
第3話 「正直に言おう。手に負えん」
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
……こうなったら! オイッ!」
賊の一人、ノッポの男が叫ぶ。
と、桃香の傍の木陰から生き残りの賊が這い出てくる。
「はっ! 油断したな、テメエらは人質に……」
「なるわけないだろう、馬鹿が」
俺は言葉を遮ると、剣を突きつけてきた男の顔面を『AMスーツの力』を借りて軽くはたく。
「ばぴゅっ」
飛び出してきた賊の男の顔は、通常の人間の三十倍にもなる軽いビンタに首がちぎれ飛んだ。
「ひゃあっ!?」
バタッ、と倒れる首なし死体に悲鳴をあげる桃香。
「なっ、ばかな……」
一瞬で死んだ切り札に、唖然とするノッポ。
「……おしまいか? なら、さっさと消えてもらおう」
「ひ、ヒイィッ!」
愛紗の青龍偃月刀が煌き、三人の首を纏めて刈り取った。
―― 張飛 side ――
鈴々たちが賊を仕留めると終わると、お兄ちゃんはにっこりと微笑んだのだ。
「さすが英雄たる二人だね。惚れ惚れとしたよ」
「いえ、そんな……」
「にゃ〜、英雄とか言われるとテレるのだ!」
お兄ちゃんは、屈託の無い笑顔で鈴々たちの傍まで来たのだ。
「けがは無い?」
「私は大丈夫だ。鈴々は……?」
「まったく問題ないのだ」
「そっか。ほんとにびっくりしたよ。強いとは思っていたけど、これほどとはね……」
お兄ちゃんがしきりに頷いているのだ。そんなに褒められるとくすぐったいのだ!
「ご謙遜を。貴殿こそ、あの賊を倒した一撃。まったく力を入れていないように見えましたが……」
「ん? ああ、あれはちょっと『ずる』をしているからね……二人のほうがすごいよ」
「『ずる』? お兄ちゃんの『ずる』って、なんなのだ?」
「はは……そうだね。俺は普通の『力』は愛紗ぐらいしかないよ。たぶん、鈴々には『力』じゃかなわないんじゃないかな?」
「にゃ? そんなことないのだ! 鈴々は軽く叩いただけで首と飛ばすなんてできないのだ!」
「うん。たぶんそうだろうね。俺もそのままじゃできない。できたのはこのスーツ……服のおかげさ」
「服? なにやら獣の皮のような服ではあるが……そんなもので『力』が増すと言うのか?」
愛紗が、恐る恐るお兄ちゃんの服に触っているのだ。
鈴々も触ったけど、変な感触はするけど普通の服なのだ。
「そう思うよね? でもね、ちょっとこうすると……」
にゃっ!?
バキッ、という音と一緒に、急に筋肉が盛り上がったのだ!
「この筋肉は人工筋肉……服に筋肉がくっついているようなもんなんだ。この筋肉のおかげで俺は、常人の三十倍以上もの『力』がだせるんだよ。『ずる』ってのはそういうこと」
「この服にそんな『力』が……? 信じられ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ