立志の章
第2話 「まさか……金(きん)か!?」
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」
「うん、盾二さん!」
盾二さんの笑顔に私も笑顔で応える。顔が紅いのが自分でもわかる。
「鈴々も真名を預けるのだ! 鈴々は『鈴々』っていうのだ! お兄ちゃんの秘密は絶対守るのだ!」
「ありがとう、『鈴々』」
鈴々ちゃんも笑顔で応える。
ちらっと愛紗ちゃんを見ると、ちょっと悩ましげに手を顎に当てていた。
「愛紗ちゃん?」
「……私は先程見た、妖術のようなものが恐ろしい」
愛紗ちゃんが呟くように言う。それはわかる。あの二回目の爆発のようなもの。
あれは人を簡単に焼き尽くせるだけの力があると思う。
「だが、それ以上に貴様は……いや、貴方は私たちに”信”をおいてくれた。そして貴方の秘密を真名に誓った。ならば真名も預けるべきだと思う。だから……我が真名『愛紗』を貴方に託そう」
「……ありがとう、『愛紗』。君の”信”、確かに受け取った」
愛紗ちゃんの言葉に破顔する盾二さん。よかったぁ!
「さて……この金塊だけど、これで馬三頭分になるかな?」
「お、多すぎるよ、馬なんて高くても五千銭ぐらいだもん! これだと……最低でも百万銭ぐらいになっちゃうんじゃ……」
「そんなにか……」
盾二さんの持つ金塊は、おそらく一石(三十一kg)はあると思う。
こんな金塊があればそれこそ馬が二百頭は買えちゃうかもしれない。
「……確か有名な涼州馬でも一万か二万と聞いたことがあります。それを考えると個人で持つにはとんでもない大金ですよ」
愛紗ちゃんがつぶやくのもわかる。私だってこんな金塊、みたことない。
「そっか。まあとりあえず馬売っているところで欠片でも渡して譲ってもらえばいい。後は旅費にすればいいさ」
盾二さんはそういうと、腰にある小さな短刀で金を削りだしました。
「これでお金は解決だね……よかったあ」
正直、私たち三人とも手持ちのお金がもうほとんどなかった……盾二さんには言ってないけど。
「ところで……三人とも、気付いてる?」
「?」
盾二さんが突然、手を止めてこちらを見る。
なんのことだろ?
「ああ……わかっている」
「もちろんなのだ」
愛紗ちゃんと鈴々ちゃんは、わかっている? なんのことだろ?
私が首をかしげると、愛紗ちゃんが盛大にため息を吐く。え、え?
「桃香様……もう少し危機感をお持ちください」
「お姉ちゃんにそれを求めるのは、だいぶ無理なのだ」
ひどいよ、鈴々ちゃん……
「まあ、あれだけ大きな爆音響かせれば、当然だよな……この時代なら」
そういって盾二さんは、金塊を置いて短刀を手に立ち上がる。
すると、そこへ――
「へへっ……すげえお宝じゃねぇか!」
「まさか、こんなとこ
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