立志の章
第2話 「まさか……金(きん)か!?」
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
も鈴々ちゃんもすまなそうに頭を下げた。
盾二さんは首を振る。
「いや、当然だ。驚くのも無理は無い……これは知識では絶対に測れない。いや、理解は難しいものだ。妖術……といっても差し支えないが、少なくとも悪意は無い。わかってくれ」
「……うん。信じるよ。盾二さんは絶対悪い人じゃないもん」
そう、悪い人じゃない。
悪い人があの時、目覚めない一刀さんを抱いて号泣するわけがない。
「ありがとう……ただ、まだ終わりじゃないんだ」
「えっ!?」
「後二回、驚くことになる……まあ、見ていてくれ」
そう言ってこちらに背を向ける盾二さん。すると――
「はあああああああああああああああああああああああああっ!」
とんでもない殺気、ううん、気迫が周囲を包む。
「な、なんだ、この気は!」
「うわわわわわっ、す、すごいのだ!」
愛紗ちゃんと鈴々ちゃんの声が震えている。
そういう私も、あまりの恐怖にその場に座り込んでしまった。
「おおおおおおおおおおっ! マグナ・フレアバースト!」
それはまるで何もかも溶かす灼熱の太陽。
その場にとてつもない巨大な熱が生まれた気がした。
三十三丈は離れているはず……それでもとんでもない熱を感じて、咄嗟に身を伏せる。
伏せた瞬間に巨大な爆音と熱風が、私達の頭上を通り過ぎていく。
「きゃあああああああああ!!」
「と、とうかさまああああああああっ!」
「わきゃああああああああああっ!?」
私たち三人とも悲鳴をあげながら、その場に伏せていた。
……どのくらい経ったろう。爆風による熱気がゆっくりと冷めていく。
「すまん……ちょっと近すぎたか?」
盾二さんの声に恐る恐る顔を上げる。
そこには、ばつが悪そうにこちらを覗きこむ盾二さんがいた。
……いつの間に土塁の上にあがってきたんだろう?
「……もう、へ、いき?」
「ああ……すまない。ちょっと加減を間違った」
私が身体を起こして後ろを振り返ると、愛紗ちゃんと鈴々ちゃんも顔を上げたところだった。
「あ、危ないではないか! 桃香様、大丈夫ですか!?」
「な、なんだったのだぁぁ〜?」
二人とも無事みたい。
「すまん、あれほどの力を出すつもりは無かったんだが……制御系がおかしくなったか?」
盾二さんは謝りつつ、自分の手を握ったり開いたりしている。
「……本当に、何者なのだ、貴様は」
「……すまん」
愛紗ちゃんが警戒するのもわかる。
あれは怖かった。
本当に怖かった。
「……それで一体何がしたかったのだ?」
「あ、ああ……」
鈴々ちゃんが問いかけると、盾二さんは向こう岸を見る。
釣られて私達も見
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ