立志の章
第2話 「まさか……金(きん)か!?」
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、静かに一刀さんを寝かせてから人の背丈より高い土塁から降り、川の手前まで歩いて止まる。
この川は少し広いし、対岸まで三十三丈(約六十m)ぐらいはあるはず。
「これから見る事は、一切他言無用でお願いする。君達だから見せることだ。できるなら……誓ってほしい」
盾二さんの顔はとても真剣で、有無を言わせない迫力がありました。
「……何をする気だ?」
「……すまないが、言う前に誓ってほしいんだ。誓うのは……そうだな。君達の信念や生き方、武でもいい。己の譲れぬ何かに誓ってくれないだろうか?」
「……つまり、そこまでの秘密を打ち明ける、というのだな?」
「……(コクッ)」
盾二さんは無言で頷きました。これは生半可なことじゃダメだよね。
「わかりました。私の真名に懸けて、その誓いをお受けします」
「桃香様!」
「愛紗ちゃん、盾二さん、本気だよ? それに私達だから打ち明けてくれるって言うんだし……それが何にしても、ちゃんと受け止めるべきだよ」
「……はい」
「鈴々もわかったのだ。鈴々は自分の武、そして真名に誓うのだ! 絶対に秘密を守るのだ!」
「……私も自分の武と、真名にかけて誓おう」
「すまない……ありがとう」
盾二さんは深々と頭を下げて、懐から何かを取り出し――
「……それは?」
「これは……”賢者の石”」
「けんじゃの……いし?」
盾二さんの持っている米粒のような小さい石。
宝石のような赤い色をしている。
「そしてこれが……高圧縮金属テクタイト」
再度懐から出したのは、細長い棒のようなもの。
「このテクタイトは五百度の高温を加えると体積が千倍に膨れ上がる金属だ。但し、ただの鉄になるがね……」
そういうと反対側の岸辺にぶんっ、と高く投げ出し――
「フレア・バースト!」
「「「!!!」」」
何が起こったのか?
突然、すさまじい熱を感じて、目を閉じて身を固める。
爆音のようなものが聞こえたけど、それどころじゃなかった。
「……すまん、大丈夫か?」
「あ……?」
私が目を開けると、反対側の岸辺が――
「うそ……」
まるでなにかに溶かされたように木がただれ、石が吹き飛ばされ、何かでえぐられたであろう中心には、重そうな黒い石がいつの間にか佇んでいた。
「き、貴様、いったいなにをした!」
愛紗ちゃんが、青龍偃月刀を構えて叫ぶ。
鈴々ちゃんも、丈八蛇矛を手に持っている。
「ま、まって! 愛紗ちゃんも鈴々ちゃんも! 誓ったはずだよ!」
私が叫ぶと、二人うっ、と呻く。
わかるよ、わかるけど……私達はそれぞれ真名に誓ったもん。
「すまん……」
「ごめんなのだ……」
愛紗ちゃん
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