立志の章
第2話 「まさか……金(きん)か!?」
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ね? もしかして、あだ名か何か?」
「ちがうよー! ちゃんとした名前です! 失礼だよー!」
「え、ああ……ごめん」
盾二さん、かなーり失礼だよ。人の名前をあだ名とかいうの。
「えっと、じゃあ君らは……?」
盾二さんは、どことなく不安げに横にいる愛紗ちゃんと鈴々ちゃんに尋ねる。
「……我が名は、姓は関、名は羽、字は雲長だ」
「鈴々は、姓は張、名は飛、字は翼徳なのだ!」
たぶん、私の名前をあだ名とか言ったせいかな? 愛紗ちゃんが若干怒ってるっぽい。
「ええと……さっきから君達、別の名前を言い合ってなかった?」
「ああ、それは真名だよー」
「まな?」
あれ? 盾二さん、真名知らないの?
「真名を知らんのか……?」
「全然知らない」
愛紗ちゃんもちょっとびっくりしてる。そうだよねー普通知っているよね。
「真名ってのは大事な名前のことなのだ! それは家族とか大事な人しか呼んじゃいけないものなのだ! 例え知っていてもその人が許さなきゃ口に出しちゃいけないのだ!」
「なにそれ……古代中国にそんな風習があったとは……」
こだいちゅうごく?
「ま、まあ、郷に入っては郷に従え、か。教えてくれてありがとう。知らなかったら普通に呼ぶところだった」
「よかったのだ! もし呼んでたら、殺されても文句は言えないのだ!」
「そ、そこまでか……」
盾二さんが、若干引いているみたい。そっかー知らないところから来たのかな?
「お兄さん――盾二さんってどこの人? この辺じゃ見ないけど……」
「う、うーん……そ、その前に聞いておきたいんだけど、ここってどの辺り? 地名とか……」
「ここ? 幽州啄郡だよ」
「ゆうしゅう……五代十国頃までの地名、だったか。やはりここは……」
「「ごだいじっこく?」」
愛紗ちゃんと鈴々ちゃんが声を揃える。五台山のことじゃないよね?
他にごだいじっこくなんて地方あったっけ?
「いや、すまない。ということは……今から向かっているのは北京、いや北平か」
「うん。だけどこのままだと、どう考えても七日ぐらいかかっちゃうよ?」
「となると……馬かなにかをどこかで調達しないとな」
「それはいいけど……盾二さん、お金もってるの?」
「ああ……そうか。こっちじゃ向こうの金は使えんし……」
盾二さんがちょっと悩んで――あれ? こっち見てる?
「な、なにかな? 申し訳ないけど私達、そんなにお金は……」
「あ、いや……そういうのじゃなくて、な」
てっきりお金を貸してくれというのかと思ったけど……違うのかな?
「……うん。そうだな。君達は俺を、そして一刀を救おうとしてくれている。俺も信義に応えよう」
そう言うと
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ