立志の章
第1話 「あや……へんなのがいるよ?」
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で光に包まれたまでは覚えているが……」
「じゃあ二人ともどうしてこんなところに……?」
「……二人?」
俺は、訝しげに少女の視線の先を振り返る。
「!?」
そこには死んだはずの相棒――北郷一刀が横たわっていた。
「相棒!? ばかな、頭が喰われて――いない。これは夢か!?」
俺は相棒――一刀を抱き起こす。
”アレ”に喰われたはずの頭は元通りになっていた。
そして血色もよく……息もある。
「相棒……よ、よかった……生きていて、う、うぉぉぉぉっ……」
俺は泣いた。死んだはずの俺の片割れ。
共に生き、共に死ぬと魂に誓い、戦場を駆け抜け、二人でスプリガンになろうと決意した相棒。
そしてその試験で唐突に”アレ”に喰われ、失ったはずの魂の欠片。
それが今、再びここにある。
「一刀、かずと……起きてくれ、一刀っ! 生きているって、俺に教えてくれ……っ」
俺は一刀を揺さぶる。しかし、一刀は目覚めない。
「……一刀? どうして起きないんだ! 一刀!」
いくら呼べど叫べど、一刀は目覚めなかった。
「そんな……起きてくれ、一刀。助かったんじゃないのか……!?」
俺は喜んだ反動で、今度は深い悲しみに暮れる。
何故だ、どうして……
「あ、あの……」
「桃香様、どうしましょう……?」
「はわ〜男同士なのだ……」
一人、あまり聞きたくない言葉が聞こえたが、そんなのはどうでもいい!
「頼む! 一刀を……兄貴を助けてくれ! なんでもする! お願いだ!」
「えっ……お兄さん、なの?」
「似てないのだ……」
「鈴々! そんなこと言っている場合ではない!」
黒髪の少女が背の小さい少女を嗜めると、こちらにしゃがみこんでくる。
「事情はわからぬが、その御仁が大変だと言うのはわかった。とりあえず近くの邑に向かおう。医者がいるかもしれぬ」
「頼む! この礼は必ずする! だから……」
「困っている人に手を差し伸べるのは当然だ。礼などいらぬ。桃香様……」
「うん、もちろんだよ! すぐに移動しよう!」
「すまない……」
俺は一刀を背負い、立ち上がった。
「そういえば名をまだ聞いていなかったな、お主、名は……?」
「ああ、俺は、北郷――北郷盾二だ」
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