暁 〜小説投稿サイト〜
真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
立志の章
第1話  「あや……へんなのがいるよ?」
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
で光に包まれたまでは覚えているが……」
「じゃあ二人ともどうしてこんなところに……?」
「……二人?」

 俺は、訝しげに少女の視線の先を振り返る。

「!?」

 そこには死んだはずの相棒――北郷一刀が横たわっていた。

「相棒!? ばかな、頭が喰われて――いない。これは夢か!?」

 俺は相棒――一刀を抱き起こす。
 ”アレ”に喰われたはずの頭は元通りになっていた。
 そして血色もよく……息もある。

「相棒……よ、よかった……生きていて、う、うぉぉぉぉっ……」

 俺は泣いた。死んだはずの俺の片割れ。
 共に生き、共に死ぬと魂に誓い、戦場を駆け抜け、二人でスプリガンになろうと決意した相棒。
 そしてその試験で唐突に”アレ”に喰われ、失ったはずの魂の欠片。
 それが今、再びここにある。

「一刀、かずと……起きてくれ、一刀っ! 生きているって、俺に教えてくれ……っ」 

 俺は一刀を揺さぶる。しかし、一刀は目覚めない。

「……一刀? どうして起きないんだ! 一刀!」

 いくら呼べど叫べど、一刀は目覚めなかった。

「そんな……起きてくれ、一刀。助かったんじゃないのか……!?」

 俺は喜んだ反動で、今度は深い悲しみに暮れる。
 何故だ、どうして……

「あ、あの……」
「桃香様、どうしましょう……?」
「はわ〜男同士なのだ……」

 一人、あまり聞きたくない言葉が聞こえたが、そんなのはどうでもいい!

「頼む! 一刀を……兄貴を助けてくれ! なんでもする! お願いだ!」
「えっ……お兄さん、なの?」
「似てないのだ……」
「鈴々! そんなこと言っている場合ではない!」

 黒髪の少女が背の小さい少女を嗜めると、こちらにしゃがみこんでくる。

「事情はわからぬが、その御仁が大変だと言うのはわかった。とりあえず近くの邑に向かおう。医者がいるかもしれぬ」
「頼む! この礼は必ずする! だから……」
「困っている人に手を差し伸べるのは当然だ。礼などいらぬ。桃香様……」
「うん、もちろんだよ! すぐに移動しよう!」
「すまない……」

 俺は一刀を背負い、立ち上がった。

「そういえば名をまだ聞いていなかったな、お主、名は……?」
「ああ、俺は、北郷――北郷盾二(ほんごうじゅんじ)だ」

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ