立志の章
第1話 「あや……へんなのがいるよ?」
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。
その肩をぽん、と叩いた少女――愛紗は、美しい黒髪を首と共に左右に振った。
その前を走る鈴々という少女は、自身よりも遥かに長い蛇矛を振り回して叫ぶ。
「お姉ちゃん! 前のほうに誰か倒れているのだ!」
「えっ!? 誰かに流星が当たったのかな!?」
「いや、さすがにそれはないかと……」
愛紗がツッコむが、それを聞きもせず桃香は走り出す。
「あや……へんなのがいるよ?」
「二人とも男の人だね……私達と同じくらいの歳かな?」
「二人とも離れて! 姿からして怪しい! もしや、妖やもしれません!」
「「でも、気持ちよさそうに寝てるよ(のだ)?」」
「……」
愛紗が、おっかなびっくり顔を覗こうとする。
「わっ!」
「わひゃぁぁぁぁっ!?」
鈴々に後ろから大声を出され、五尺(九十cm)ほど飛び跳ねた愛紗は、奇声を発して振り返る。
「り、鈴々! いたずらにも程があるぞ!」
「にゃはは〜愛紗は怖がりさんなのだ」
「ち、違う! 違うぞ! 私は怖がっているのでなく、ただ、ただ……そ、そう! 驚いただけで!」
「愛紗ちゃん……」
「と、桃香様! そんな、怖いんだよね、わかってるよ、みたいな顔はやめてください!」
「……っさい」
「にゃ!?」
「はわっ?」
「……っ!?」
―― ??? side ――
「……うるさい、な……なん……?」
俺が目を開けると、三人の美少女がこちらを覗きこんでいた。
「「「……」」」
「…………?」
三人の美少女は、俺をじっと見つめている。
正直こんな青空の下、上から覗き込まれるのは居心地悪くてしょうがない――空?
「空だと!?」
「「「わっ!?」」」
俺は唐突に身体を起こした。
危うく頭がぶつかりそうになり、三人共仰け反っていた。
だが、今はそれどころじゃない。
「闇の中……いや、その前は夕暮れだったはずだ! ここは……」
周囲を見回す。見事な地平線。
遠くに見える山脈。見たこともない場所だった。
闇の中の前には確か、ブラジル南部の原生林だったはずだ。
「一体どこだ……?」
「あ、あのぉ〜……?」
「ん?」
「ええっと……大丈夫、ですか?」
美少女の一人が、心配そうにこちらを見ている。
見たことも無いような美少女、といっていいだろう。
というか、周囲の二人もとんでもない美少女と言える。
「あ、ああ……君達が助けてくれた、のか?」
あの闇の中で聞こえた声――ではなさそうだ。アレは明らかにカマっぽかった。
「助け……? お兄さんは寝てたんじゃないの?」
「寝て……? いや、確かに闇の中
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