立志の章
第1話 「あや……へんなのがいるよ?」
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?」
俺は叫ぶが、ふいに現実感が喪失した。
「あ、あれ……?」
さっきまで走っていたはずの森ではない。
周囲は闇。音も無く静まり返り、上下の感覚もないような闇。
であるのに――
「……光がないのに自分の姿が見える?」
思わず口に出してしまった言葉に、気付く。
(俺は……”喰われた”のか?)
思い出すだけでも体が震える。圧倒的な恐怖。
たしかに”アレ”に飲まれた筈――
(ならここは……いや、そもそも)
「俺は死んだのか……」
「死んでないわよ」
「!?」
闇の中から声が聞こえた。
「誰だ!?」
「ちょぉぉっとまってねぇん。今、調節してるからぁん」
聞き間違いかと思ったが、確かに”ソレ”は声だった。
「これで……どぉかしらん? アタシの姿、み・え・る?」
「いや、まったく……」
「あらぁ〜おかしいわねぇ……接続がうまくいってないのかしら?」
妙にカマっぽい声だった。俺は不安になりつつも周囲を探る。
「どこにいるんだ?」
「あ〜無理、無理よ。アタシそこにはいないから。さすがに他の外史から外史に干渉するのは、無理があったかしらねぇ」
「が、ガイシ?」
カマっぽい声に嘆息が漏れる。
「とりあえずこっちに引き寄せるわね。たぶんこっちのどこかに来られると思うけど……さすがにアタシの傍は無理みたい」
「引き寄せるって……どういうことだ!」
「アナタ、そっちじゃ死んだことになるはずだけど、ソレは諦めてね? 銅鏡の暴走はもう止められないのよ」
「ちょっと待て! 説明――」
「向こうで会えたらしてあげるわ……がんばってね。もう一人の”ご主人さま”」
「おい、おま――」
俺が叫ぼうとした瞬間、視界に突然光が溢れた。
―― other side 幽州啄郡 五台山の麓 ――
「二人とも遅いのだ! 急がないと何が落ちたかわからなくなるのだ!」
「ま、待ってよぉ、鈴々ちゃん。一人で行かないで〜!(涙)」
「そうだぞ、鈴々! こんな昼間に、流星が落ちてくるなんて、どう考えてもおかしい!」
荒野に三人の美少女達が、姦しく騒いでいる。
「愛紗ちゃんのいうとおりだよ〜。もしかするとおばけがでるかもしんないよ? や、やっぱやめない?」
「そんなことないのだ! 劉玄徳と関雲長ともあろうものがなさけないのだ!」
「り、鈴々! 桃香様は、いや私達は、べ、別に怖がっているわけではない! ただ、危険かもしれないと……」
「大丈夫なのだ! みんなでいけば怖くないのだ! だから急いでいくのだ!」
「わかってない……わかってないよぉぉ……」
桃香と呼ばれた少女が、涙ながらに歩く
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