第四十話 同盟結成その十三
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「間違いなくね」
「そうしてきますか」
「アメリカとか中国は知ってるよね」
「ええ、まあ」
「あの二国は。まああえて言わないけれどね」
「それでもですよね」
「出て来るから」
かなりオブラートに包んだ表現でだ。高橋は述べた。
「だからね」
「ロシアもですよね」
「その場合は仕掛けてくるよ」
こう言うのだった。
「あの三国はね」
「覇権ですか?」
上城は覚えたての言葉を出した。
「それって」
「まあね。そうなるね」
「ですよね。それぞれの国が覇権を握る為にですか」
「来ると思うよ」
「厄介ですね。そうした国が介入してきたら」
「そうだね。けれどね」
だが、だとだ。ここでこうも言う高橋だった。
「このことは表には出ないから」
「絶対にですね」
「そう。日本とアメリカは友好国だよ」
特にこの二国はだというのだ。
「何の問題もなくね」
「平和に交流を続けているんですね」
「そうだよ。剣士同士の戦いで覇権を手に入れるとかそれを止めようとしているとかはね」
そうしたことはだ。全くだというのだ。
「ないよ」
「ないんですね」
「そう、全くないから」
表の世界ではだ。そうなっているというのだ。
「うちの首相もあちらの大統領もね」
「中国の国家主席もですね」
「勿論ロシアの大統領もね」
その彼等全てがだというのだ。
「お互いに何も知らない顔で握手をするからね」
「何もないということで」
「そう、何もないから」
あくまで表ではそうなっているというのだ。
「そういうことだから」
「何か。それって」
「嫌かな」
「汚い気がしますけれど」
上城から見ればそうだった。まだ若くそのうえ純粋な彼から見ればだ。政治のそうしたことはどうしてもそう思えるものだった。
それでこう高橋に言ったのである。
「裏でそんなことをやっていて表では仲良くっていうのは」
「そうかもね。けれどね」
「それでもなんですか」
「それが政治なんだ」
高橋は落ち着いた顔で上城に話す。
「そうなんだよ」
「そうなんですか」
「表と裏がはっきり別れている世界なんだ」
「だからいいんですか」
「そう。表は表で」
そしてだというのだ。
「裏は裏でね」
「それぞれ動く世界なんですか」
「テーブルで向かい合って手は握手して」
高橋はさらに言う。
「足は踏み合う。そういうものなんだ」
「何かそれって」
「やっぱり汚いって思うかな」
「はい、どうしても」
「まあ確かに奇麗じゃないことは事実だけれど」
高橋もそのことは否定しなかった。
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