第二十二話 夏休みその十
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「アメリカじゃ今でも人気よ」
「日本でもよね」
景子も好きである。
「子供の頃読んだわ」
「原文も面白いから」
丁度魔法使いとの対面の場面だ。正体を出した彼と話をしているのだ。
「この魔法使いもいい人なのよね」
「確か手品師だったのよね」
彩夏が魔法使いの正体について言う。
「確か」
「そうよ」
「ううん、この人オズの国から出てどうなったのかしら」
「また戻って来るの」
「あっ、そうなの」
「それで本当の魔法使いにもなるの」
これも後のシリーズでなることだ。
「グリンダに教えてもらってね」
「あの赤い国の魔法使いに」
「そうなるの」
「ううん、話を聞いてると」
「そうよね」
四人は里香の話を聞いてるうちに思った。
「本当に面白そうよね」
「それもかなり」
「そう、物凄く面白いから」
里香自身も言う。
「よかったら皆で読んでみる?」
「皆で?」
「オズシリーズを」
「そう、そうしてみる?」
こう提案した里香だった。
「ドリトル先生のシリーズもあるわよ」
「ううん、そうね」
「そういえば読書感想文の宿題もあるし」
夏休みの宿題の定番である、だがこれについてはその里香が話した。
「あっ、どっちも高校生の読書感想文にはよくないから」
「童話だから?」
「それでなのね」
「ええ、あまりよくないの」
年齢的なことからそうなることだった。
「それだったら」
「漱石とか?」
彩夏は話を戻した。
「それか鴎外とか」
「ええ、そうした作家の方がいいわ」
「そうなのね」
「夏目漱石だと手頃なのは坊ちゃんかしら」
里香は漱石のこの代表作を出した。
「鴎外だったら雁とか」
「他には誰のどの作品がいいかしら」
「色々あるけれど」
里香は彩夏の問いに真面目に答える。
「谷崎潤一郎は作品を選ぶみたいだけれど」
「えっ、そうなの」
「谷崎はそうなの」
「私も谷崎の作品は全部読んでないの」
明治から戦後まで活躍した、だからその作品も多いのだ。
「作品によってはレズとかの作品もあってね」
「そうした作品は読書感想文には出来ないよな」
美優が言う。
「やっぱりな」
「ええ、選ばない方がいいわ」
「そうだよな」
「お母さんが言うには谷崎だと」
母からのアドバイスだった。
「春琴抄がいいみたいよ」
「その作品がなんだな」
「目の見えない女の人の話で」
その彼女に仕える年上の男との愛がテーマになっている、そこに倒錯した耽美があるのが谷崎の特徴と言えるだろうか。
「映画にもなってるのよ」
「主演誰なの?」
「山口百恵さんよ」
琴乃の問いに伝説となったアイドルの名前を出した。
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