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ソードアートオンライン―死神の改心記―
久方
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た死神の群れに突っ込んだ。


「ふう……」
最後の黒ローブが爆散したのを確認し、俺は床にへたり込んだ。
SAOには疲れという概念はないが、アバターを長時間酷使したときには倦怠感が残る。
全身蒼の{おせっかい}の乱入から十分で戦闘は終了した。
だが、その十分の密度の濃さは俺を参らせるには十分だった。
やや筋力値に勝る俺が突っ込み、その狩り残しをナギサが倒す。
ナギサの圧倒的な敏捷性についていくうえでの久方ぶりのパーティプレイはなかなか大変だった。
しかし、心の片隅には楽しかったという感情もある。
時間がたてばたつほど、ともに戦えば戦うほど、お互いの次の動きがわかるようになってくる。
それが当たり前だった、まだパーティを組んでいたあの頃が懐かしく思えた。

だが。

もう俺は決してパーティを組まない。
あの時にそう決めたから。
たとえ一時的なものであったとしても。
これ以上かかわることは許されない。
改めて決意を固めた俺に、ナギサが歩み寄ってくる。
「お疲れさま」
微笑む彼女に、俺はなるべく冷たい声で応じる。
「なんで助けた」
その一言で、部屋の空気が凍る……と思っていたのだが。
当の本人は、本気で不思議そうな顔を作り、
「死にかけてる人を見つけたら助けるって当たり前だと思うけど」
なんとなく調子を狂わされた感があったが、まとう空気は変えないように続ける。
「俺はあそこで死んでも良かった」
すると彼女はあごに手を当て、考えるそぶりをみせる。
一つだけ言おう。幼い顔には似合わない。
きっかり十秒後、ナギサが口を開いた。
「じゃあさ、パーティくもうよ」
「は?ちょっと待て、どこに話が飛んだ!?」
先刻までの雰囲気をかなぐり捨て、思わず叫んでしまう。
ナギサは、決意した、というような顔で、いう。
その目には、多少いたずら的な光が混ざっていたような、いなかったような……
「私がパーティになって、君が死なないように監視するの。そしたら君は死なない、攻略組は困らない。みんな幸せ万々歳でしょ?」
「いや、それお前に利益ねぇだろ」
その言葉に彼女は少し考え、
「あ、そうだね」
おい。
心の中で思わず突っ込んでしまう。
だが、俺は{おせっかい}の異名の意味を知ることになる。
「でも、いいじゃん」
基本的にMMORPGでは、リソースの奪い合いがテーマになっている。
デスゲームとなったSAOでは、それが特に顕著に表れている。
周りのプレイヤーをだまして、奪って、ひたすら自分を強化する。
生き残るために。
それ以外は無駄以外の何でもない。
だが、噂に聞く限りこの少女にそんな常識は通用しそうになかった。
たぶん、この少女の本質は{おせっかい}そのものなのだろう。
自分より頭一つ小さい
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