プロローグ「憑依」
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覚めれば俺が、その親玉に……!?)
現在、俺は空の上にある『シナプス』とよばれる浮遊都市のような場所の一画で、玉座のような椅子に腰を下ろし偉そうに足を組んでいた。
俺の身長は一七〇センチで日本人特有の黒髪黒目だったはずだ。それなのに、なぜか白い衣を身に纏い、流れる髪はサラサラの金髪。しかも背中には天使のような純白の翼が付いている!
眼下には部下と思わしき数人の男たちが俺の前で片膝を立てていた。俺の背後には従者と思われる二人の女の子が直立姿勢で佇んでいる。
(見覚えがある! 超見覚えがあるんだけど、ココ!)
――これはもう確定と思っていいのではなかろうか?
ここ、『シナプス』は【そらのおとしもの】に登場する場所で、敵の親玉の総本山だということを。そして、俺はそんな場所のボス的な存在である悪の親玉本人であるということを。
「……憑依モノって言うのかな」
「――? 何か言いましたか、マスター?」
「いや、なんでもない」
女の子――要撃用エンジェロイド、タイプγ【ハーピー】が怪訝な顔を浮かべる。
エンジェロイドというのはシナプスで作られたアンドロイドのようなものだ。人間でいう心臓を動力炉として作られており、各所に搭載された武装と伸縮自在かつ透明にもできる鎖付きの首輪、生体部品などから構成されている。
その外見はもちろん精神もまさに人間そのものであり、彼女たちは喜怒哀楽を表現できる心を有している。ヒロインたちの多くはこのエンジェロイドなのだ。
(ああ、不幸のヒロインその三のハーピーちゃんだ! 生で見れて俺、感動!)
彼女たちは双子の設定である。その名の通り猫耳や切れ長の瞳、爪や足の形が獣に近い構造をしている。姉は気が強く、妹はお気軽な性格だ。彼女たちも親玉に扱き使われた哀れなヒロインたちなのだ。
(もういいや、憑依とか……。だって、ここに居られるだけで俺幸せだもの)
念願の【そらのおとしもの】の世界にやって来れたのだ。家族や友人にお別れをいえなかったのは心残りではあるが、この世界に足を踏み入れたことが出来たことに後悔はない。
(よーし、俺はここでエンジェロイドのみんなを幸せにするぞー! そして、あわよくばハーレムだ!)
俺だって男の子だもの。色物に目がいってしまうのは仕方がないことさ。
しかし、当然のことだが無理矢理はダメだ。お互い愛のない交際ほど空しいものはないからな。
(エンジェロイドのみんなは『命令』されることに喜びを感じるからな。それが良いことなのかは別にして、盲目的にならないように気を付けなければ)
エンジェロイドは元来、シナ
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