反転した世界にて2
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ートだった。ぶっちゃけそれだけで頷いてしまいそうだった。危なかった。
きっと悪い女の人に騙される男って、僕のようにコロッと簡単に靡いてしまうタイプばかりなのだろう。気をつけなくちゃ。
いや〜、それにしても可愛かったなぁ。あ、名前聞いてない……。
――などと、僕がさっきの会話の余韻に浸っているその頃、
『う、うへへ、赤沢さんと会話しちゃった♪』
『しちゃった♪ じゃないわよ! あっさり籠絡されてんじゃないの! この役立たず!』
『なによぅ。ちゃんと説得したじゃないのよ』
『最後までやり抜けって言ってんのよ!』
『白上ぃ……あんたよく考えなさいよ。周りの男子も妨害とかしてこなかったでしょ。なんでかわかる?』
『わ、私に気を使ってくれたとか? みんな意外と空気読めるんだから』
『あんたは空気を読めないよね。もやし女じゃ説得は無理だってわかってたからよ』
『い、いま言っちゃいけない言葉を使ったな! いつかあんたのカバンでもやしを栽培してやるからね!!』
『好きなだけ栽培してろってのよ! いいからもっかい行ってこい!』
『わ、わかったわよぅ……』
――。
――今後、如何にしてさっき美少女の名前を入手しようか。連絡網とかに乗ってるだろうか。でも名前わかってもそもそも話しかける勇気とか枯渇してるんだけど、この辺りはどういうお考えなのか。
などと悶々としていると、
「赤沢さん!」
「うわぁっ! びっくりした!!」
急に件の女子に再び話しかけられる。猫みたいに飛び跳ねたい気分だった。危ない。
――僕の動揺を知ってか知らずか、美少女は僕の方をビシッと指さして、言った。
「コ、コスプレ喫茶の件だけど!」
「う、うん」
なんだろう。僕としては、さっききっぱり断ったつもりなのだけど。諦めてはくれなかったようだ。
それにしても、随分と余裕がなさそうというか。やっぱり、長時間僕みたいなのと顔を合わせているのは彼女にとって苦痛なのだろうか。
「う、うぅ……」
「……」
――この時、僕は気づいていなかったのだ。男子から美少女に対して向けられている嘲笑うような視線。
そして女子たちからの憤怒と嫉妬の眼差しを。
そんな極限状態に彼女が置かれているということを、僕は察することができなかった。
「え、えっと……」
「うん」
美少女の顔は見る見る赤くなっていく、さながらエビが茹で上がっていくかの如く。
やがて、熱しすぎたエビは破裂する。この時の美少女の心境は、多分そんな感じだったに違いない。
「私もコスプレするからさぁ!!」
「!?」
「「!?」」
驚くべき提案。
「私も、っていうか。女子全員コスプレするわっ!」
「……」
この
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