反転した世界にて2
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『お化け屋敷 6票』
『喫茶店 9票』
『コスプレ喫茶 21票』
『鉄道の歴史博覧会 1票』
"コスプレ喫茶"の圧倒的票数。
――去年とほぼ同じ。どうせ男子が懲りずに案を上げて、しかも男子のほぼ全員がコスプレ喫茶に票を入れたのだろう。女子の票がある程度割れてしまっている以上、多数決の結果がこうなることはある意味必然だ。
しかしいくら多数決といえど、コスプレ喫茶なんて女子が納得できるはずもなく。女子側の猛烈なブーイングと再選要求。――ってところだろうか。ちなみにこれ、去年、文化祭の出し物を決めるHRのあらすじとほぼ一緒。
"メイド喫茶"を"コスプレ喫茶"に変えただけな。
――まるで成長していない。このクラスはもう駄目かもわからんね。
「ええいっ!」
がたっと、女子の一人が椅子を派手に鳴らしながら立ち上がる。その音に喧騒が止み、クラスの全員がその女子の方へと注目する。
断固たる覚悟と決意に染まった表情だ。これは、女子サイドの抗議をいなすのは不可能に思えるな。
去年と全く同じ状況。
「とにかく私たちの意見は変わらないわ。我々女子一同は、その総意を以てして『コスプレ喫茶』の敢行を宣言する! これは多数決による絶対の決定よ!」
「「おぉーー!!」」
「どういう状況!?」
思わず突っ込んでしまった。
「あ。赤沢さんおはよう。よく眠れた」
「ひぇ、や、うん。まあ」
隣の男子から、急に話しかけられた。
迂闊だった。思わず声なんて出してしまったばっかりに。
「よし。赤沢からも言ってやれよ」
「え、え」
「いいからいいから」
両の肩をむんずと掴まれて、そのまま起立させられる。何の心構えもなかったがゆえに、足に椅子が当たってがたがたっと凄まじい音。
奇しくもさっきの女子と同じように、クラスメイト全員の視線を浴びることとなった。
しかしお構いなく、僕の隣の男子はクラスメイトに向けて声を荒げる。
「跪けよ、女子共! 眠り彦のご起床だ!」
「!?」
こ、こいつはなにを言っているんだ? 変な風に担ぎ上げようとしやがって!
見ろ、周りもどういう反応していいかどうか迷って……
「なっ、馬鹿な、眠り彦が……っ!」
「嘘よ、眠り彦はHR中ずっと寝てるんじゃなかったの!?」
「眠り彦が前線に出るなんて聞いてないわよっ! HQ、HQっ!!」
「きた! 眠り彦きた! これで勝つる!」
よくわからない方向に騒然とする教室内。
「静まれ静まれぃっ! 眠り彦の御前であるぞ! 頭が高ぁいっ!」
「「ははぁっ!!」」
「……」
……皆、ノリがいいなぁ。
なんだよこのテンション。ちょっと付いていけそうにない。
「な
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