プロローグ
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に入室。
一瞬だけ、クラスメイトの視線が僕に集中するけれど、登校してきたのが僕であることがわかると、まるで何事もなかったかのように各々の時間に戻る。
みなさん、思い思いのホームルーム前をお過ごしのようで、僕は邪魔にならぬよう、目立たないように自分の席を目指す。
ここまではいつも通り。登校が少しだけ遅いことを除けば、まだまだ日常の範疇だ。
問題は、ここからだった。
「――んで、あんまりにもしつこいからさ。思いっきりビンタ入れて金的してやったのよ」
「うわー美沙マジ過激ー」
「ぱねー、マジぱねー」
……女子三人のグループが僕の席を占領していた。
普段は一つ速い電車に乗ってくるので、彼女たちのグループが登校してくるよりも前に、僕は机に突っ伏し鎖国を敷くことによって領地を守っているのだけれど。寝坊の代償はこんなところにまで波及するのだ。
他で時間を潰そうにも、ぶっちゃけクラスに僕の居場所はない。荒沢くんのクラスにお邪魔しようにも、時間的には言って、挨拶をして、帰ってきたら予鈴がなるような微妙な時間帯だ。
どうしようか。軽くパニック。
なるべく穏やかに、僕の机の上から退いていただいて、その席を明け渡してほしいのだけれど。会話内容からもわかるとおり、下手に話しかけたりすれば間違いなくビンタからの金的を食らわされてしまうに違いない。
「ねえ、美沙……」
「あはは、でさー……、ん? なによ」
「アレ……」
「……げ」
げ。と来たもんだ。
ちょっと考え込んでいるうちに、後ろの方で雑談に参加していた女子が僕に気づいたらしい。
「あ……、ども」
何も言わず、微妙な顔して退いてくれる美沙女子。
逆向きにされていた椅子はそのままだったけれど。
「……」
「……行こ、美沙」
僕の後ろの席は、確かさっきまで座っていた女子の席なのだけど。そして朝の自由時間も残り少ないのだけれど。
それでも、後ろの席の女子はわざわざ席を立って、美沙と呼ばれた女子の席の近くに立ってお喋りを再開する。
「……赤沢マジキモいよね〜」
「ホントホント、言いたいことがあるならはっきり言えっての」
「じーっとこっち睨んじゃってさ、ほら見て鳥肌立っちゃった」
陰口、ではないんだろうな。思いっきり聞こえてるし。
……面と向かって言われないだけマシだと、心の中で念じつつ。僕は寝たふりをしながら、予鈴がなるまでの時間を過ごした。
◇
いつも通り苦行のような六限+昼休みを何とか乗り切って放課後。
「明日のホームルームに、文化祭の出し物について話し合いをするので、各自――」
担任の男子教師が、教壇で伝達事項を呟いているのを聞き流しながら、今日一日を振
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