投刃と少女
とあるβテスター、離反する
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別れを告げ、シェイリと二人、次の層へと続く螺旋階段を登っていく。
その途中、誰の目もないことに安堵した途端、僕の口からは盛大な溜息が漏れた。
───やっちゃったなぁ。やっちまったよ。
これで僕は、彼らから《人殺しのオレンジ》として認識されただろう。
二度と誰かと───シェイリ以外と、パーティを組むことも、当然ながら出来ない。
これから僕は……僕たちは、たった二人で攻略を目指していかなくてはならない。
「まあ、パーティプレイは諦めるしかないかな……。というかシェイリ、本当によかったの?」
「えー?今から戻れとかいわないよね?」
「いや、言わないけどさ〜……」
「ならいいのー!わたし、ユノくんといるのが一番楽しいもん」
この期に及んで彼女を巻き込んだことをちょっと後悔してる僕とは正反対に、当のシェイリは何てこともないように笑う。
そういえば、あの“はじまりの日”にも、似たような遣り取りがあった気がする。
その時も、彼女はこうやってふにゃりと笑っていた。
なんていうか……強いね、君は。
「……ん。そういうことなら、これからも二人で頑張っていこうか」
「おー!」
「それじゃ、まずは次の第2層だけど───」
螺旋階段を登りながら、記憶に残る第2層の特徴を説明する僕と、意気揚々と鼻歌なんかを口ずさむシェイリ。
そんな彼女と繋いだ手を、しっかりと絡めながら。僕たち二人は次の層へと向かう。
「……あ」
そういえば。
ボス戦が終わったら、僕の昔の話をするって約束してたけど───
「ユノくんユノくん!ほら、あそこ!おっきなドアがあるよー!」
……まあ、それは次の街に着いてから、宿屋の部屋で温かい物でも飲みながら話すとしようかな。
幸いなことに、時間はたっぷりあるようだし。
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