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とあるβテスター、奮闘する
投刃と少女
とあるβテスター、離反する
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演技とはいえ、それを口に出したことで、本当に人を殺してしまった時のことを思い浮かべて───身体が、勝手に震える。

「………」
だめだ、何とか言え。
次の一言で締めなんだ、今更怖がってる場合じゃないだろう。
僕は《投刃》だ。《投刃のユノ》なんだ。
仲間を裏切り、平気な顔で殺すことのできる、仲間殺しのオレンジ《犯罪者》。
そんな奴が、こんなことで震えてどうする……!

「ユノくん」
「……!」
……不意に。
シェイリが僕の震える手を───繋いだ手を、ギュッと握ってきた。
たったそれだけの動作。たったそれだけで、身体の震えが和ぐ。

「……そうだね、シェイリ」
そうだ。僕は強くならなきゃいけない。
例え全プレイヤーを敵に回しても、彼女だけは絶対に守る。そのためには。
こんなことで、この程度のことで、みっともなく震えている場合じゃないだろ───!

「……、次の層の転移門は、僕が有効化《アクティベート》しといてあげるよ。使いたければ好きにするんだね」
「待てよ!このまま行かせるワケが───」
「よせ」
行かせるわけがないだろ、と言おうとしたC隊のメンバーを、ディアベルが片手で制する。
そのまま真剣な眼差しを僕へと向け、ゆっくりと口を開いた。

「ユノさん。ここでオレ達が争うことに意味はない。だから、今回は君を止めることはしない」
「へぇ?」
「こちらも無駄な犠牲は出したくない。だからオレ達は、これからも極力君には手を出さない。そのかわり約束してくれ。そちらも無闇に人を傷付けないと」
「……、賢明だね。その賢明さに免じて約束してあげるよ。僕はそっちから手を出されない限り、自分から君たちに危害を加えない。ま、いつまで有効なのかは知らないけどね?」
心底馬鹿にしているように───嘲笑うように言いながら、僕は内心でディアベルの心遣いに感謝する。
一見冷徹にも見える遣り取りだけど、ディアベルがこう言ってくれたお陰で、少なくとも今この場にいるプレイヤーは、自分から僕たち二人に手を出そうとはしないだろう。
彼は僕の真意を察した上で、お互いにとって一番被害の出ない方法を選んでくれたんだ。

「……そういうことだ。早くオレ達の前からいなくなってくれ」
「言われなくても」
「………」
その証拠に。
僕が背を向ける直前、彼は僕の目を見て、一度だけ頷いた。
全てわかっている、というように。

「聞いての通りだ、みんな。今後、彼を見かけても変な気は起こすな!オレ達の目的は、プレイヤー同士で殺し合うことじゃない。あくまでこのゲームの攻略なんだ!」
まったく……君はリーダーの鏡だよ、本当に。


────────────


「………、はああああああー……」
すれ違い様、キリトとアスナに小声で
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