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とあるβテスター、奮闘する
投刃と少女
とあるβテスター、離反する
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で散々提示されていたじゃないか。

「オレ……オレ知ってる!こいつらは元ベータテスターだ!だからボスの攻撃パターンとか、うまいクエとか狩場とか、全部知ってるんだ!知ってて隠してるんだ!!」
そう言ったのは、キバオウ率いるE隊メンバーの一人だ。
この言葉も、予想通り。

「でもさ、昨日配布された攻略本に、ボスの攻撃パターンはベータ時代の情報だって書いてあったろ? それは、そっちの嬢ちゃんだって指摘してたことだ。彼らが元テスターなら、むしろ知識はあの攻略本と一緒なんじゃないか?」
「あの攻略本が、ウソだったんだ。あのアルゴって情報屋がウソを売り付けたんだ!アイツだって元ベータテスターなんだから、タダで本当のことなんか教えるわけなかったんだ!!」
更に畳み掛けるように、シミター使いが怒りの矛先をアルゴに向ける。
彼の言い分は『日本人に犯罪者が一人がいた。だから日本人は全員悪い奴だ』と言ってるようなものだ。極端にも程がある。
だけど言ってる本人は、自分の言い分がいかに偏っているかを理解していない。
自分もアルゴの攻略本に助けられてきたはずなのに、それを棚に上げて、憎しみを彼女に向ける。

こうなることは、大体予想通りではあったんだけど……なんというか。
なんというか……やるせないよ。
アルゴの攻略本のお陰でここまで来れて。キリトがカタナスキルを知ってたお陰で死者が出ずに済んで。
それだけでいいじゃないか。それだけじゃ気が済まないの?

「それにそいつ!そこのフードの奴!」
最後に一際大きな声で叫び、シミター使いは僕を指差した。自然と周りの視線が僕に集まる。
彼が言いたいことは、十中八九あのことに関してだろう。

「オレは知ってるんだぞ!おまえ、ベータじゃ《投刃》とか呼ばれてた仲間殺しで、PKだったんだろ!!」
やっぱり、ね。
キバオウが僕のことを知っていた時点で、ディアベルの仲間であるC隊メンバーが同様に知っていても何らおかしくはない。

「どうせベータテスター同士でつるんで、自分達だけいい思いをしようと思ってたんだろ!おまえら全員、グルだったんだろ!!」
……それに、僕がボス戦で《投刃》としてのプレイスタイルを見せれば……こうなるであろうことも、わかってた。

───やるしかない、みたいだね。

このまま僕がここに居続ければ。
『元βテスターは偽情報を流し、あまつさえPKもする連中だ』というイメージが、SAO全体に根付いてしまう。
そうなればどうなるか、想像するのは難しくない。
ゲーム内で死ねば現実世界でも死んでしまう今のSAOにおいて、PKは殺人者と同義だ。
そんな噂が広まってしまえば……軋轢なんて生易しいものではなく、本当に『βテスター狩り』が始まってしまうだろう。
これ以上、プレイヤー同
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