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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一〜四章
三章 トルネコおばさん
3-03脱獄の片棒を担がされました
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「さあ!出て行きなさい!」
「あらやだ、ごめんなさいね。ちょっと迷っちゃっただけなのよ。すぐに出て行きますから。」
そんな言い方しなくてもいいのにねえ、でもお仕事だものね、大変ねえ。
などと思いつつ、素直に出て行こうとすると、当の王子様に呼び止められる。
「ボクはリック。この国の王子です。あなたを旅の商人と見込んで頼みたいのですが……。」
「あらあら、旅の商人だなんて。そんな大層なものじゃ、ないんですのよ。」
「詳しい話は、夜に武器屋の裏で……。」
王子様と夜に待ち合わせだなんて、ちょっとドキドキしちゃうわね、でも帰らないといけないし、断らないとね。
と思いつつ、口を開こうとすると、今度こそ女性に追い出された。
「王子様!そのような
下賤
(
げせん
)
の者と話してはいけません!さあ!出て行きなさい!」
断りそびれちゃったわね、夜になったらキメラの翼でも使ってくるしかないかしら、せっかく稼いだのに勿体ないわ。
などと思いつつ、うろうろしていると、今度は牢屋に紛れこんでしまった。
「あら、あれはトム爺さんのとこの。なんて言ったかしら、家出した息子さん。」
牢番の目を盗み、近付いて話しかける。
「ちょっとちょっと。あなたこんなところで、何やってるのよ。お父さん、心配してるわよ。」
「あっ、トルネコさん!ちょっと、へましちまって」
「へまって何よ。まるで盗みでもしたみたいに、って。あらやだ。まさか。」
「うっ……。は、反省してるよ。つくづく思ったんだ、悪いことはまっぴらだって」
「当たり前でしょう!そんなのは、やる前に思うことよ!お父さん悲しむわよ、息子さんが無事帰って来るように、毎日教会でお祈りしてるのに。あたしとポポロとでかわりばんこに押してあげて、弱った足腰で頑張って」
「だ、だから反省してるって。あんた商人だったよな。だったらキメラの翼を買ってきておくれよ。」
「あなた、あたしに脱獄の片棒を担げっていうの!?嫌よ、あたしまで捕まっちゃうじゃない!あたしには、大事な夫と子供がいるんだから!」
「頼む、頼むよ!この牢獄厳しくってさ、いつ出られるともわからないんだ。このままじゃ、親の死に目にも会えないよ!」
「……わかったわよ。トム爺さんにはお世話になってるし、息子さんが帰らないと悲しむだろうし。ほら、これ。」
「ひゃー、ありがてえ!村に帰ったら、今度こそ真面目に働くことにするよ。じゃあ、一足先に村に帰ってるぜ!」
再び牢番の目を盗み、冷や冷やしながら外に出る。
無事に外に出てほっと息を吐き、首を傾げる。
「なんでキメラの翼で帰れたのかしら。屋根に穴でも、空いてたのかしらね。」
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