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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一〜四章
二章 やんちゃ王子の観光
2-25旅立ち
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話を変えながら、城門に向かう。
「武術大会も、なかなか楽しかったが。噂のデスピサロと戦えなかったのは、本当に残念だった」
「結局、何者であったのでしょうかな」
クリフトが話に加わる。
「デスピサロが消えると共に、魔物も姿を消したという話もあります。本当に、何者でしょうね」
城門を抜けたところで、こちらによろよろと向かっていた兵士が、倒れこむのが見えた。
「あれは」
「サントハイムの兵だ!」
急ぎ駆け寄る。
「どうした。何があった」
「ア、アリーナ王子様!すぐに、サントハイムのお城に、お戻り、ください!ぐ、ぐふっ!」
兵士は
事
(
こと
)
切
(
き
)
れた。
診
(
み
)
ていたクリフトが、首を振る。
「何が……とにかく、戻るぞ!」
ブライの移動魔法で飛んだサントハイム城は、静まり返っていた。
夜だといっても、静か過ぎる。
門番もいない。
城内に入るが、やはり人の姿は見えない。
「これは
奇
(
き
)
っ
怪
(
かい
)
な!一体、どうしたというのじゃ!」
「みなさん、どこに行ってしまったのでしょうか……?誰かー!いませんかー!」
「荒らされた様子はない。本当に、どうしたというんだ」
人の姿を、手掛かりを求めて城内を回る。
人だけが、急に消えてしまったかのように。
生活の痕跡を残し、手掛かりは無く。
たった一匹、もの言わぬ猫だけを残して。
誰も、いない。
重苦しい沈黙を破り、アリーナが口を開く。
「……いつまでも、ここでこうしていても、仕方ない。旅に、出よう。」
「しかし。無人の城を、放置して良いものか」
「父上は、何かを予感しておいでだった。世界を見て回れと、
仰
(
おっしゃ
)
った。無人の城を守るより、何が起きようとしているのか。俺たちに何が、できるのか。探して回るべきだろう。」
「……王子。」
「俺は、サントハイムを見捨てない。必ず父上たちをお救いし、城に帰ってくる。ブライ、クリフト。ついてきてくれるか」
「王子。ご立派に、なられましたな」
「もちろん、お供します!
身命
(
しんめい
)
を
賭
(
と
)
してお仕えするとの誓いに、変わりはありません!」
「わしも
老骨
(
ろうこつ
)
ながら、お供しましょうぞ。城が戻らねば、安心してご結婚を勧めることもできませぬ。王子の
御
(
お
)
子
(
こ
)
を見ぬことには、死んでも死にきれませんからな。」
「またそれか。まあ、いい。ふたりとも、よろしく頼む。」
そして再び、王子は旅立つ。
以前と同じく供を連れ、以前とは違う決意を抱いて。
「では、行きますぞ」
「参りましょうか」
「ああ、行こう。」
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