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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一〜四章
二章 やんちゃ王子の観光
2-21サイモン
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魔法を放った姿勢で硬直する変態に
肉薄
(
にくはく
)
する。
腹に拳を入れ、浮き上がらせたところを、地面に叩きつける。
地面に転がる変態に、鉄の爪を突き付け、様子を見る。
変態は意識を失っている。
構えを解き、兵士に視線をやる。
兵士が確認し、国王に合図を送る。
「勝者!アリーナ王子!」
ひときわ大きな歓声が上がる。
「王子ー!よくやってくれたー!」
「夢だった!全部悪い夢だった!」
「アリーナ様、最高ー!いい気味だわー!」
やりすぎた気がしたが、喜ばれている。
変態だから仕方ない。
変態は運ばれながら意識を取り戻し、やはり泣いている。
「うう、もうエンドールにいられねえ。田舎に、帰ろっかなー……」
帰れ。
二度と出て来るな。
「アリーナ王子様、三人勝ち抜き!薬草を、使いますか?」
「そうだな、使っておこう」
薬草をすり潰し、炎に
曝
(
さら
)
した箇所に塗る。
ほとんど見かけ倒しだったので、すぐに治るだろう。
「では次!アリーナ王子の四回戦の相手!サイモンよ、これへ!」
甲冑
(
かっちゅう
)
に身を包んだ戦士だった。
兜が顔面まで覆い隠し、表情は見えない。
観客がざわめく。
「まともだ」
「まともだわ」
「まともすぎる」
前が前なので、逆に驚くのも仕方ない。
甲冑はうろたえたように、周囲をきょろきょろと見回す。
「な、なんだこの空気は。何があったのだ」
申し訳ないが、説明したくない。
早く、忘れたい。
甲冑が仕切り直すように声を上げる。
「と、ともかく!三人抜きを為したと言う、アリーナ王子殿下。王族の道楽などと、
侮
(
あなど
)
ることももはやせぬ。このサイモン、挑戦者として申し上げる。いざ、尋常に、勝負されたい!」
ああ、すごくまともだ。
「望むところだ、サイモン殿。」
「では、試合開始じゃ!」
サイモンは、盾を前に、剣を後ろに引いた姿勢で構える。
先の三人とは比較にならない、なかなかの
手
(
て
)
練
(
だ
)
れだ。構えに隙が無い。
間合いを測り、隙を探る。
じりじりと動き、お互いに探り合う中で、不意に
間
(
ま
)
を外す。
サイモンの構えが、一瞬崩れる。
瞬時に間を詰め、
開
(
ひら
)
いた身体に鉄の爪を突き入れる。
盾を動かし、辛うじて爪を受け止めたサイモンは、態勢を崩しながらも、後退しつつ剣を振り下ろす。
身をかわし、距離を取るのを許さず、懐に潜り込む。
鉄の爪を振り上げ、兜を跳ね上げる。
甲高い音を立てて留め金が弾け飛び、サイモンの素顔が
晒
(
さら
)
される。
兜の外れる勢いに顎を上げながらも、サ
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