紅い星と蒼い星 〜戦争前夜編〜
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、勝利の為に…でしょっ」
エルヴはサユイラの言葉をさえぎって言うと、キュートにウィンクしてみせた。
見つめあう二人の頬は少し赤くなっていた。二人の間にバディとしてではなく、何か他の感情が芽生えはじめていた。
OZ火星軍宇宙戦艦ビクトゥーリア。ネオ・バルジのすぐ横につけてある巨大なそれは、艦にしては特徴的な形をしていて、本体から上に飛び出るように付いているブリッジ、両サイドから伸びる腕の先のMS用滑走路、前方に伸びてから後方に反転した様に付いているバーニア、戦艦中央部にある巨大な砲台etc…と専門知識の無い素人でも、普通の艦とは違うというのがわかるほどだ。
その艦体のブリッジにサユイラとエルヴは赴いた。そこでは、忙しそうに発進の準備が進められていた。
「急いで発進準備をしろ!!地球軍は既に進軍を開始しているぞ!!」
ビクトゥーリアの艦長、キッド・ビクトリアは独眼の銀髪で、この艦の基本設計から開発、テストと、たくさんの仕事をこなしている。
「キッド艦長!」
サユイラが背後から呼びかけた。
キッドは振り向き、笑顔を見せながら話はじめた。
「サユイラ、エルヴ、待っていたよ。君たちがいるだけで随分気が楽だよ」
「ありがとうございます」
挨拶を済ますとエルヴが話はじめた。
「今回の戦闘ですが、地球軍は強化型リーオー‘ミルキーウェイ’を使ってくると考えられますが…」
「確かに、君のところのスパイの情報から、この戦いに出してくる可能性は高いな」
いつも笑顔であふれているキッドが珍しく深刻そうな顔になった。
「その性能は未知数…だが、『再誕のトールギス』と呼ばれている以上、かなりの性能を持っているはずです」
サユイラが淡々としゃべるとキッドは少し顔をしかめた。
「な、何にせよ注意すべき機体か…」
サユイラとエルヴは二人とも何かを感じ取った。何か不吉な…病気?
二人が少し深刻そうな顔になったとき、管制官から報告がきた。
「艦長!発進準備できました!!」
「よし!では、全艦に告ぐ!!…進軍開始!!!!」
キッドの掛け声と同時にビクトゥーリアを含め、7隻の艦体のバーニアが青白い火を噴いた。轟音と共に艦内を大きな揺れが襲った。火星には太陽光収束レンズが取り付けてあり、それを突破するときに艦体が揺れるのだ。
「よし、では各自、体を休めておくように!」
「では、私たちはこれで」
エルヴが言うと二人は敬礼した。
キッドに見送られ、ブリッジを出ると、二人は感じ取った不吉な事について話しはじめた。
「艦長は…長くないな…」
「クルーたちは気づいてないようだけど、もういつ死んでもおかしくないわね。」
「H‐000ウィルス…か」
「えぇ、恐らく」
「だが、艦長とて軍人だ、そう簡単には死ぬまい」
「そうね」
二人はそれぞれの部屋
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ