スピンオフ クリス・ファーチュナの思い出
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ート役?要はあたしを監視する奴だろうがふざけやがって」
「僕としてはそういうつもりは一切ないんだけど」
「そんなの信じられるかよ」
「あらら。僕何にもしてないのに嫌われちゃったかな」
「ふん」
それから毎日毎日休み時間になったらあたしのところに来て蓮は話しかけてくるようになった。
最初はもうほんとにウザくてウザくてしょうがなかったけどある日を境にちょっとだけ考えが変わったんだ。
それはみどり奏の管理人さんが風邪をひいて寝込んであたしが弁当を遠慮した時だった。その日の休み時間昼食を取ろうと思って財布を取り出そうとしたら最悪なことに財布を忘れたんだ。
「くそ、ついてねぇ」
あたしが中庭のベンチで座ってるとそこにあいつが、蓮が来たんだ。
「今日はここにいたんだ」
「なんでここにいんだよ」
「何でって教室にいなかったから仕方なくここで久々に食べようと思ったらあなたがそこにいたんだよ」
「マジかよ…」
ついてねぇ…。なんでこいつなんかと同じ場所にきたんだよ…。
「ファーチュナさんはなんでここに?」
「別にいいじゃねえか!あたしがどこにいようがあたしのあたしの勝手だろう!」
そうさけんだのが悪かったのか、あたしのおなかからぐうううううううと情けない音がしたんだ。
「もしかして、弁当ないの?」
「わ、悪いかよ……」
あたしは恥ずかしくってあんまり大きな声が出せなかった。
「んー、じゃあこれあげる」
そういってあいつが差し出してきたのはメロンパンだった。
「い、いいのか?」
「もちろん」
「返せって言ってもかえさねぇからな」
「もちろん」
あたしはメロンパンを受け取ってかぶりついた。
そのメロンパンは冷めてるのにとてもおいしかった。クッキー生地はそこそこ固くて、パンはふんわりとしていた。
「おいしい…」
「それはよかった」
あたしが夢中になって食べてる隣にあいつは少し笑って座ってから自分もメロンパンを食べ始めた。
「ごちそうさま」
「お粗末様でした」
え?
「あのメロンパン、お前が作ったのか?」
あたしは驚いた。こいつ料理できたのかと。
「まあ今日朝早く目が覚めちゃって時間もたくさんあったから昨日のパンを作ったあまりの生地で作ってみたんだ」
なんだか負けた気分だった。
「そ、そっか…なあ普段どんな生活してるんだ?」
「僕?僕は」
それから今まで話さなかったのに沢山の事を話した。自分のこと、相手のこと、アメリカはどうだったとか、ここのなにが美味しいとか、たわいもなくて、あたしがここのところずっとしていなかった、楽しい、楽しい会話だった
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