第70話 =貫きたい想い=
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すぐには答えれない俺たちに、男は険しさを増した顔でさらに言った。
「狩るなら早く攻撃を、狩らないなら早く離れてくれ。我々の攻撃に巻き込んでしまう」
その言葉と同時に男の後ろから雪を踏む音がいくつも聞こえた。おそらくいまこの男が言った我々なのだろう、全員ウンディーネ、
ガチな邪神狩りパーティだった。
「……マナー違反を承知でお願いするわ。この邪神は、あたし達に譲って」
それに答えたのはウンディーネ達全員からの苦笑だった。代表して、スカウトの男が言う。
「下級狩場ならともかく、ヨツンヘイムまで来てそんな台詞聞かされるとは……。『この場所は私の』とか、『このモンスターは私の』なんて理屈は通らない。ここに来られるほどのベテランなら分かってる筈だよな?」
なら、ベテランじゃなきゃいいんだよね、と言おうとしたがそれは声に出なかった。そんな身勝手な理屈は通らないことはあの世界で痛いほど判っていた。VRMMOに関しては丸々2年費やしていたのだ、ゲームは違えどベテランに入ると思う。
「頼む」
突然キリトは俺たちの目の前に出てくるとそう声を出し深く頭を下げていた。
「……カーソルは黄色かもしれないけどこの邪神は俺たちの仲間…いや友達なんだ。こいつは死にそうな目に遭いながらもここまで来た。最後までしたいようにさせてやりたいんだ」
「俺からも頼む……じゃない、お願いします。我がままだってことはわかってる、でも……」
この先から言葉が出ない、伝えたいことをそのまま言葉にすればいいはずなのになんていえばいいの判らない。それでも、俺はキリトの隣で同じように頭を下げる。
「おい……おいおい、あんたらプレイヤーだよな?NPCじゃないよな?」
だが、それに答えたのは笑いながら話かけてくる男とそのうしろで隠そうともせずに大笑いしているウンディーネの一団だった。仲には面白すぎるのか失笑しているやつまでいる。
しばらく笑い、男はその笑いを納めると流麗な弓を下ろし、背中の矢筒からひらりと銀色の矢をぬいて番える。
「……悪いけど、俺たちもこのフィールドでだらだら遊んでいるわけじゃない。さっき大きめの邪神に 壊滅させられかけてね。苦労してリメインライトを全部回収して、やっとパーティーを立て直したところなんだよ。つまり、狩れそうな獲物は狩っておきたいってこと。そういうことだから…10秒数えるから、そいつから離れてくれ。時間が来たら、もうあんたたちは見えないことにするからな」
その男は後ろにいるメイジに支援魔法開始と指示をだし「10」とカウントダウンを始めた。その間にも次々と支援魔法が完成しステータス増強魔法が戦士たちの体を包んでいく。
「9……8……」
高らかなカウントダウンが慈悲もなくどんどん進
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