彼はこうして出会いました
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第一層のボス戦で俺がビーターと名乗り、第二層のボス戦でアスナが血盟騎士団に入った。
アスナが抜けてからはβテストの知識を生かし、効率の良い狩場でひたすらレベルを上げ続けた。
各階層のフロアボス攻略でアスナが何度か声を掛けて来たが、俺は攻略やレベル上げの事ばかりで、
出会った頃にくらべて、まともに相手をしてなかったなと度々思い返す様になっていた。
階層が上がると共に攻略組の誰もが無口になり殺伐とした雰囲気になった。
最近は攻略組と顔を合わせるのも嫌になり始めている。
もし俺が、あの時もう少し余裕を持っていれば、アスナと話をして緊張をほぐしたりしていれば、
他の攻略組もあそこまで殺伐としなかったのではないだろうか?
そんな時だった、俺が月夜の黒猫団に出会ったのは。
装備強化に必要なレア素材を取りに下層のとある狩場まで降りた時の事だ。
この狩場に篭るPTは、攻撃力の高い前衛が最低でも二人は必要になる。
一回のスイッチで敵を倒さないと、次々と湧き出るモンスターに対処しきれなくなり前線が崩壊してしまう。
他にもポップする敵がアクティブばかりで、攻撃力の低いPTが歩き回ればトレインを引き起こしたり、
モンスターハウスになりやすい、最悪モンスターPKだって起きかねない。
それに経験値的に見ても他の狩場や一つ上の階層の方が安全だ。
そして、そんな狩場で珍しく五人組のPTが戦闘をしていた。
何でこんな効率の悪い狩場に…………? 俺と同じレア素材狙いだろうか?
不安に駆られた俺は直ぐに隠蔽スキルで近くの茂みに隠れる事にした。
蟷螂のモンスターと戦うPTのHPは全員がイエローになる寸前まで低下していた。
よく見ると先頭に立つのは女性プレイヤーで、突撃槍とは少し違った槍で戦っていた。
そのPTの狩りは――――悪い意味で非常識だった。
両手槍の女の子を一人だけ前に立たせて、男達はスイッチやサポートをする様子が全く見られない。
前衛と思われる盾持ちの男も、他の男達と一緒に女の子の影に隠れている。
普通なら盾持ちが敵の攻撃を受け硬直状態を作り出してスイッチで狙う筈だ。
それだけあの子が強いのか? どう見ても怯えている様にしか見ない。
暫くして、女の子は何度か攻撃を受けながらも反撃して蟷螂が動かなくなった。
多分、麻痺系の槍なのだろう。蟷螂が麻痺した後は全員で囲って殲滅していた。
蟷螂のHPがあっと言う間に減っていく。
下層の武器とは思えないほど高い攻撃力を持っていた。
まるでこのSAOで課金アイテムを使ってプレイしている様な印象さえ感じてしまう。
あそこまで強力な武器は最前線の店売りでも存在しない筈だ。
最前線に近い迷宮区
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