彼はこうして出会いました
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の宝箱から出た物では無いだろうか?
レベルに物を言わせて下層で狩場を荒らすノーマナープレイヤーかとも思ったが、
五人ともその顔に見覚えが無い。攻略組どころか上級プレイヤーの中にも居なかった筈だ。
流石に全員の顔を覚えてる訳ではないが、SAOでこんな狩り方をして生き残っていられるのが不思議だ。
PTの構成だって偏っている。長槍使いが二人、片手短剣の盾無しが一人、両手棍一人、メイス使いの盾持ち一人。
最低でも、もう一人盾持ちを増やしてHPの低下したメンバーを戦線から外し、回復出来るようにするのが定石だ。
他のMMOなら一瞬でHPを回復できる魔法やアイテムが豊富にあるだろうが、
SAOでは魔法は存在しないし、一瞬でHPを全快にするアイテムもあるがレア中のレア、
普通の回復アイテムは時間をかけてゆっくりと回復するだけだ。
もちろん敵から貰うダメージが大きく、こちらのHP回復量は少ない、
だからこそ戦闘中に回復するプレイヤーは、完全に戦闘から離れて休まなければならない。
もし彼等がレアな回復アイテムを大量に常備しているなら話は別なのだが、
その内誰も回復できず、前線は崩壊するだろう。
そして、その疑問は的中した。
単体の蟷螂を圧倒していた狩りは、複数の蟷螂が一気に沸いて状況が一変した。
側面から襲われると男達は蜘蛛の子を散らす様にバラバラに逃げ回った後、
槍使いの女の子を盾にする様に前に差し出した。
女の子は攻撃を何度も食らいながら懸命に麻痺槍を刺す。
一匹だけ麻痺させたが他の蟷螂が邪魔で倒せない。
そして女の子のHPがイエローゲージに達すると、全員で逃げ出した。
更に逃げる途中で別の蟷螂を群れで引っ掛けてしまい、合計八体のモンスターに挟み撃ちされる形になった。
もうのんびりと見ていられる状況じゃない。
「転移結晶があるなら今直ぐ脱出しろ!」
俺は叫びながらHPが低下していたモンスターの一匹をソードスキルで倒す。
続けて近くに居た二体目のモンスターに攻撃してタゲを俺に移す。
PTを確認するとそれぞれが追撃を食らい、全員のHPがイエローゾーンに突入した。
――――女の子のHPは危険域に落ちる寸前だ。
転移結晶を使ったメンバーは一人も居ない。持っていないのか――――これは間に合わない。
敵の数が多過ぎる、俺が全力でソードスキルを駆使したとしても倒し終わる頃には一人、いや最悪二人は死ぬ。
「スイッチ!!」
女の子から発せられた声に俺は思わず――――何時もの習慣でサイドステップを踏み、横に飛びのいた。
俺が道を開けると女の子の槍がモンスターに突き刺さり、麻痺状態にする。
――――行ける。
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