投刃と少女
とあるβテスター、投擲する
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思わず見惚れてしまった。
このレイピア使いが女性だということは分かっていたが、まさかここまでの美人とは思いもしなかった。
そんなキリトの様子に怪訝そうに眉をひそめ、しかしそれ以上何も言わず、アスナはボスの姿を見据える。
───言ってる場合じゃない、か……!
その瞳に込められた確固たる意思を感じ取り、キリトは説得することを諦めた。
きっとこの少女は、いくら止められようと自分も戦うことを選ぶだろう。
「ディアベル。あんたは回復が済み次第、部隊の体勢を立て直してくれ」
「あ、ああ、わかった」
「俺達は……ボスを、倒す!」
アスナの姿を見て呆気に取られていたディアベルに指示を出し、自身も剣を握り締めた。
次いで、視線をボスの更に向こう側───リーダーが負傷したことにより、半ば混乱状態にある攻略部隊へと向ける。
どうやら仕様変更はボスのカタナスキルだけには留まらなかったらしく、本来であれば現れるはずのないセンチネルが五体ほど追加で湧いていた。
いくら人数がいるとはいえ、冷静な思考を欠いたままの部隊では、取り巻きの相手をすることすらも危ういだろう。
そんな戦況を立て直せるのは、この集団の先頭に立つ人物───騎士ディアベルを置いて、他にいない。
「アスナ、行くぞ!!」
「わかった!」
部隊に向かって駆け出したディアベルの後姿を見送りながら、二人は亜人の王へと並走しながら肉薄する。
モンスターの行動アルゴリズムを司るAIが学習しつつあるのか、敵は連携攻撃によって翻弄されつつも、厄介な投剣使いであるユノを先に潰そうとしている。
「悪い、待たせた!」
剣にライトエフェクトを纏わせながら、小柄な投剣使いの脇を抜き去る。
その際、チラリと横目で彼の姿を覗き見れば。あちらも同様にキリトの姿を認め、フードに大半を覆われた顔の、その口許が僅かに綻んだように見えた。
「いいよ!そのかわり、きっちり倒してよね!」
「了解!」
軽口を言い合いつつ、ユノが八本のナイフに青い光を纏わせ、敵の脚部目掛けて投擲。
踏み込みと同時の斬撃を繰り出そうと片足を浮かせていたコボルド王は、全体重のかかっていた軸足に投剣による連撃を受け、ソードスキルを発動させる前にバランスを崩す。
そこをシェイリの《バスターチャージ》によるタックル・回転斬りのコンビネーションで追撃され、轟音と共に壁へと叩き付けられた。
「ぐるうっ!」
そのまま床に巨体を横たわらせたコボルド王は、喚き、手足をばたつかせながら立ち上がろうともがいている。
人型モンスター特有のバッドステータス、転倒《タンブル》状態───
「「スイッチ!!」」
同時に二人分の声が重なり、ユノとシェイリの二人が飛び退いた。
代わりに現れたキリトとアスナが、中途半端に起き
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