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魔法少女リリカルなのは〜その者の行く末は…………〜
Chapter-1 First story~Various encounter~
number-3 birth of magical girl lyrical NANOHA
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て舌打ちを隠すことなくした。
美由希はまた木刀を叩きこもうとすべく、一歩、また一歩と近づいていく。


「おい」
「…………」
「もう声も出せないか? まあいい、答えろ。お前はどうして本気を出さない。お前の心の奥にある燻っている力をどうして出さない」
「…………」
「だんまりか……やれ」


燐夜は恭也の問いかけに何も答えなかった。
口を開くこともなく、ただ恭也と美由希を睨んでいた。
口を開こうともしない燐夜に痺れを切らした恭也は美由希に促す。
美由希は頷き、恭也が燐夜に問いかけた時に止めていた足を再び動かした。


段々美由希が燐夜に近づいてきた。
何を思ったのか、燐夜も美由希に対して歩みを進め始めた。
疑問に思ったが、美由希は躊躇おうとはせず、木刀を振り上げた――――


そう恭也には見えたはずだった。
なのに美由希が持っていたはずの木刀を燐夜が持っていて、美由希は燐夜の足元で伏していた。
そして燐夜の体からは蒼い焔が噴き出ている。
道場内が蒼に染まる。


「な……何なんだ……一体」


恭也が驚きで目を見開いた。
人としてあり得ないことを燐夜は今しているのだ。
体から蒼い炎が噴き出すなんて有り得ない。しかもその炎は全く熱くないのだ。


世界には気を目に見えるようにして空気中に放出できる人がいるのは知っている。高町恭也の父である高町士郎もそうだった。
だが、ここまで明確に、それも色を付けて出せる奴なんて本当に人間であるのかさえ怪しい。
三桜燐夜とは一体何者なのか。


「――――ッ。グウッ……」


しかし、相当ダメージを受けていたようで、呻き声をあげて青い焔が霧散するのと同時に床に再び倒れた。
恭也は思う。
こいつを生かしておいていいのかと。
異常なまでの気の量、それと数十分にも亘って痛み付けたのに、一度も意識を失うことがない忍耐力。
相当な実力者。
なのはに近づく男、この家の疫病神などと言ったものは置いて、恭也は考える。


少しの時間。
目を瞑って考え込んでいた恭也は目を開いて、改めて木刀を握りしめて燐夜の方を向いた。
意を決して踏み込む。間も置かずに詰められた距離。
そして振り下ろされる木刀――――


「――――もうやめてっ!!」
「なっ、なのは!」


倒れ伏す燐夜と木刀を振り下ろそうとしている恭也との間に割り込んだなのは。
まだ、3歳であるのに兄から振り下ろされる木刀にも怯えずに立ちふさがった。
運動能力は引き継がれなかったが、こういう精神面で高町家の人間であることを思い知らされる。


珍しく狼狽する恭也と幼く小さく目に涙を溜めながら睨みつけているのだが、その行為さえ可愛いと思わせるなのは。
向き合う
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