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魔法少女リリカルなのはA's The Awakening
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ークロスが覗く。その中心にはルビーのように赤く、かつガラスのような透明感を持つ宝石がはめ込まれているが、その宝石が一瞬光ったように映ったのは、周りの光が反射したからだろうか。彼は財布を確認しながら歩き、オレンジ色の看板を掲げる牛丼屋へと入っていった。
それから数日後、深夜の東名高速。一人の青年が、シルバーのスポーツワゴンを走らせていた。あまり焦っているような様子はなく、高速道路の流れに乗ってカーナビ任せのドライブ、といったところだろうか。彼の服装は、グレーのジャケットに黒いワイシャツ、青いジーンズに茶色のスニーカー。開けられた胸元には相変わらずシルバークロスのチョーカーが、そしてジャケットの胸ポケットには小さいシルバーチェーンが下げられている。腰にもシルバーチェーンが巻かれているのは、財布から伸びているのか。
「長距離は久しぶりやからなぁ……ちとしんどいか」
『大丈夫ですか?』
「まぁいうほどやないけどな。しかしこれくらいのペースやと、まだまだかかりそうやなぁ……」
乗っているのは彼一人しかいないのに、男女二人の声が車内に響く。その声は、彼の胸元に提げられているクロスのシルバーネックレスから発せられているらしく、声からすると大人の女性のようだ。また、カーステレオからは彼がセレクトしたのであろう疾走感のあるヘヴィメタルが流れている。
『仕方ありませんよ。大阪から海鳴市って、距離が相当ありますし』
「まぁせやな。しかし、闇の書ってなぁ……おとぎ話やないねんし」
『この世界に存在する以上は仕方ありません。決して放っておけるものではないのですから、私たちで処理しなければ』
「お前の話が本当なら、な。まぁ実物は着いてから拝ませてもらおうか。とりあえず……」
そういって彼は途中で進路を変え、サービスエリアに入る。
「そろそろ寝ぇへんとな。眠い」
『居眠り運転は事故の元ですからね。ゆっくり休んでください』
「そうするわ……あかんマジでヤバイ」
適当な場所に車を止めてエンジンをストップさせ、ドライバーシートを倒して目を瞑る青年。その瞼には、幼い頃に別れた少女の姿を思い浮かべながら。
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