第二十五話 格闘、神聖防御
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「無事でいて!」
黒き稲妻は駆け抜ける。幼馴染のために。
繰り出される右拳を右ステップでかわしやり過ごす。
さらに一歩踏み込もうとするもすぐそこには左腕が迫りくる。
すると今度は、ならばと言わんばかりに状態を屈め、前傾姿勢で前に踏み出す。
迫り来ていた左腕は背中をかすめて通り過ぎる。
懐に飛び込んだ誠也はそのまま機械王の左の腰元まで跳び上がる。
実はこの場所、今この一瞬に限って言えば、どんな攻撃も届かない場所である。
右腕からは距離が遠い上に機械王の体そのものが盾になり、のばされた左腕は瞬時に引くことができず、人と同じ構造を持つがゆえに足も決して届かない。
絶好の攻撃のタイミング。
逃す手などありはしない。
「神聖蹴撃!!」
右足に全力で魔力を込め、空中で体を一回転。
遠心力と大魔力、身体強化の恩恵によるキック力。
その全てを合わせた一撃が炸裂する。
『グウッ!』
さすがにノーダメージではいられなかったのか、わずかにその巨躯が揺らぐ。
しかし、それも一瞬の事。
引きのばされた左腕が凄まじい勢いで引かれ、その肘が誠也に迫りくる。
誠也はすぐさま目の前に居る機械王を思いっきり足蹴にしてその場を離脱する。
誠也のいた場所を左肘が通過し、誠也は少し離れた位置に着地する。
着地した直後、一瞬も休むことなく誠也はまた跳び上がる。
今度は相手の胸元めがけてである。
本当ならこれは悪手と言っていい手である。
相手にとって最も殴りやすい位置に向かって飛んでくるのだ。
格好の的と言っていいだろう。
勿論そんなことを見逃す機械王ではない。
容赦なく、その右腕が飛んでくる。
しかしその瞬間、誠也はにやりと笑った。
迫りくる右腕に自身の両手をかけていく。
そして右拳が体に直撃する直前、跳び箱の要領で右腕をかわして機械王の右腕を蹴り頭部まで一気に跳躍する。
そう先ほどの悪手は誠也の誘いであった。
相手の頭部めがけてバカ正直に直進したところで何らかの手で迎撃されるのがオチである。
ならば、相手の胸元に向かって跳び、相手の攻撃を利用して相手の頭部まで飛び上がることにしたのだ。
しかもこの手は、相手の攻撃をかわした後のため、さらなる反撃を受けにくい利点もある。
実際、誠也が頭部まで一気に迫っているせいで、機械王は反撃の左腕を繰り出しにくく、今回は繰り出すことができなかった。
誠也は振りかぶった右腕に砲撃魔法を載せる。
「セイクリッド――」
これから繰り出す砲撃は、自分の本当の全力とは程遠い威力しか出せていないだろう砲撃。
でも、近接戦闘という極度にチャージタイムの取れない戦闘の中においてはなかなかの一撃だと誠也は思っている。
これだけの威力なら、頭部の破壊を果たすには十分だろう。
拳がヒット
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ