第二十五話 格闘、神聖防御
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「まさか、ヴィヴィオお婆様から習ったストライクアーツがこんなところで役に立つなんてな。」
誠也は腕を前に掲げ、戦う構えを見せる。
勝てる見込みがひとかけらしかなかったとしても、管理局員として、地球の住人の友人として、あがき続けなければならない。
誠也の元々の戦闘スタイルは後方からの支援射撃と一撃必殺の砲撃を使った遠距離戦闘だ。
近距離戦闘は専門外もいいところ、と言っていい。
純粋な格闘技術のみならひさめには敵わずともアリスよりは強いが、近接戦闘の経験値やノウハウ、さらに言えばそのほかの近接に必須の魔法については大幅に負けているため、近接戦闘であれば二人には絶対に敵わない。
ただ、誠也が五、六歳の時、誠也の祖母である高町ヴィヴィオが半ば興味本位で教えたストライクアーツに対し意外と親和性が高かったというだけの話である。
所詮は下手の横好き。専門の人には敵わないのだ。
『距離ハトラナクテイイノカ?少シクライナラ待ッテヤルガ。』
「いらない。今の状態なら遠距離で戦うより近距離で戦った方が勝ち目がある。」
機械王の提案をすっぱりと断る誠也。
武装もなく、近接格闘も苦手である誠也ならば、距離をとって戦う方が有利に戦えると思われがちだが、実際はそうではない。
遠距離で戦う際に最も必要とされるのは、相手に接近されない技術である。
管理局に存在する多くの遠距離戦闘型は何らかの高機動力や敵を欺く手段を持っている場合が多い。これらは相手が接近してきてもそれを回避するための手段である。
ただ、誠也にはそれがない。
空を飛べず、一キロメートル四方という狭い戦場では、己の肉体で距離を取り続けるのは至難の業だ。しかも機械王はその巨躯に似合わず機敏である。
普段誠也が遠距離型として成り立つのはアクセルシューターのような牽制用の魔法が相手に通用するからである。
しかし、機械王にはアクセルシューターが牽制用としてすら機能しない。
このことを考えると威力を減衰させず砲撃を叩きこめる近距離戦に持ち込んだ方がまだ希望が見えるのである。
『ナラバ、ヤロウカ。』
「望むところだ!」
二人の距離が一息に零になる。
「誠也っ………!」
アリスは先ほど来た道を全力で駆け戻っていた。
追手に追われている時から観測し続けていた誠也の魔力。
それが先ほど轟音と同時に急激に減少した。
これの意味するところはいくつかあるだろう。
ただ、最悪のパターンであった場合、アリスは後悔してもしきれない。
だからアリスは全力で駆け抜ける。
「誠也っ………お願いっ………!」
今も戦闘音がここまで響き、誠也の魔力は徐々にではあるが減少し始めている。
一体どんな魔法を使うことになっているのかは分からない。
ただ、凄まじい激戦になっているだろうことだけは予想ができる。
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