閑話その二「今日のレイくん!」
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た。おばちゃんは肝っ玉のお母さんといった感じの人で、以前からよくしてもらっている。というより商店街のみんなにはよく可愛がられています。一人暮らしだったから活用する機会が多いんだ。ちゃんとお料理できますよ?
「まあ! レイちゃんじゃないの! 久しぶりねぇ」
「うん。今日はアーシアちゃんの付き添いなんだ」
「あら、そうなの。それで、何が欲しいんだい?」
ほら、とアーシアちゃんの背中を押す。初めての買い物のためか、若干緊張を孕んだ声で食材を注文する。
「お、お肉とニンジンと、玉ねぎをください!」
「アーシアちゃんアーシアちゃん、お肉はここじゃないよ。それとジャガイモが抜けてる」
「あっ、そうでした! それとジャガイモも!」
切羽詰ってしまったアーシアちゃん。目を回してすっかりパニック状態だ。慌てなくてもいいからね。落ち着いて、落ち着いて。
「ニンジンと玉ねぎとジャガイモね。いくつ必要なんだい?」
おばちゃんはそんなアーシアちゃんを微笑ましげに見守りながら手早く野菜を見繕う。
「に、ニンジンと玉ねぎは四つ、ジャガイモは五つです!」
「はいよ。お肉は向こうの新井さんの所で買うと良いよ。お金は六百円ね」
「えっ? でも、全部合わせて八百円ですけど」
「今回はサービスだよ」
笑顔を見せるおばちゃんにアーシアちゃんが慌てた様子で財布を出す。
「そんな! いけません、お金は払います!」
「いいんだよ。そのかわりといっちゃなんだが、また今度もうちを使ってくれよ」
グッと親指を立てるおばちゃん。その意を汲んだのか、アーシアは深く頭を下げた。
「んじゃあ、今度は肉屋さんだね。じゃあ、おばちゃん、またねー」
「はい! あの、ありがとうございました!」
「また来なよ!」
やっぱりおばちゃんは良い人だな〜。今度おばちゃんの所で買うとしよう。
それから一分ほど歩き肉屋さんに到着する。カウンターに肘を乗せながら店番をしていた店主のオッチャンが顔を上げた。
「おっ、アーシア嬢ちゃんにレイちゃんじゃねぇか! 今日はどうした?」
「豚肉を買いに来ました。豚肩は置いてありますか?」
もうすっかり緊張が解れたアーシアちゃんは先程とは違いスラスラと注文する。
「おう、もちろんあるぜ!」
「では七五〇グラムください」
「あいよ! ちょっと待ってな!」
豚肉を手慣れた手つきで切り分け、ビニールに入れて差し出してくる。受け取ったアーシアちゃんはお金を渡す。
「おう、確かに。ああ、そうだ。
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