―ジェネックス―
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会話で、昨日までの光の結社の件についての話は終了したようだった。
……たとえ俺が覚えていなくとも、恨み言でも言われることは覚悟していたのだが、三沢からはこれ以降何の追及も無いことにまた感謝する。
チャイムと共に授業の開始時間となり、教室のドアが開いて授業の担当の樺山先生が入ってくる……かと思ったが、教室に入って来たのはクロノス教諭にナポレオン教頭、そして世界を旅して回っている筈の鮫島校長だった。
クロノス教諭は校長代理からただの教諭に階級を落とされ、ナポレオン教頭は勝手にオシリス・レッド寮を廃止する計画などをたてていたので、双方とも鮫島校長の帰還に分かりやすくげんなりしていた。
「鮫島校長……帰ってきてたのか」
「ああ、なんでも生徒にお土産があるらしいが」
横にいる三沢の話を聞くに、どうやら鮫島校長が帰還したとのニュースは今日の朝にはアカデミアに伝わっていたらしいが、その時俺は保健室にいたし生来の噂話に興味がない性格が災いして聞いていなかったようだ。
「私がいない間、知らない制服の者が増えたようだが……まあそれはいいでしょう」
基本的にデュエル以外のことは放任主義である鮫島校長に、この光の結社騒動の解決を期待していた訳ではないが、鮫島校長は世界を旅してきても相変わらずのようだった。
「私が世界を旅してきて君たちに持ってきたお土産は、これになります」
そう言いながら鮫島校長が胸ポケットから出したのは……銀色に輝き『GX』と彫られた小さなメダル。
その量産品のような輝きに、まさか宝石であるとは思わないが、あのメダルが一体何なのかと生徒たちがざわめき始める。
「これは『Generation neXt』を表す文字。それはすなわち次世代を意味する。諸君らはその次世代を担う若者たちです。そんな君たちの力が更なる輝きを放つように、私は一つの提案を各地で行ってきました」
俺たちのざわめきには直接答えず、鮫島校長の演説会は続いていく。
自分たちが更なる輝きを放つように……というが、それとその銀色のメダルが何の関係があるのだろうか。
「このメダルを賭け、世界中の若きデュエリストたちがしのぎを削る。次世代を担う諸君らが切磋琢磨する環境を作り出してはどうだろうか、と。各国、各地で多くの人間が賛同してくれました。その中には既にプロとして活躍しているデュエリストも多くいます」
続く鮫島校長の言葉に、俺や三沢を含む察しのよい者や勘の鋭い者はなんとなく鮫島校長の言わんとしていることを悟り、更に生徒たちのざわめきが多くなっていく。
「プロ・アマの括りに意味はない。ただ次世代を担う若者の中で、その最強を決める世界大会を行う。――すなわち、世界大会“ジェネックス”の開催を、ここに宣言する!」
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