第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第六章 《圏内事件》
第40話 マイホーム1
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で泣いているのに……何もできないなんて……。
こんな時、俺がもしシリカと逆の立場だったら――何をされたら嬉しいだろう、何をされたら落ち着くだろう……?
もしそれが恥ずかしくて出来なかったら、こんな思いで泣きついて来てくれる女の子に対して逆に失礼なんじゃないのか?
なら俺は、今思いついたことを素直に実行しよう。――そう、心に決めた。
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シュウさんの背中がとても大きく見えた。
だからかもしれない、さっき感じた……そして考えてしまったことが頭から離れなくなってしまい、ついには泣き出してしまった。
考えないようにしようとすればするほど考えてしまい、とても怖くなる。
今、シュウさんの背中の暖かさを感じていなかったら、あたしはどうなっていたんだろう……多分、泣くだけじゃ終わらないと思う。
自分が素直に感じて考えたことを伝えると、気持ちは少し楽になったけど……『シュウさんと、現実《リアル》で会えないかもしれない』ということが、さらに頭の中で強くなり、胸が苦しくなる。
……あ、そっか……あたしは『ゲームがクリア出来るか分からない』から怖いんじゃなくて、『ゲームをクリアしたら、シュウさんと会えるか分からない』から、こんなにも不安で怖いんだ。
その事に気が付くと、さらに不安になってくる。
――この人の本当の背中の温かさを、あたしは感じられるのだろうか。
……どうしよう、本当に涙が止まらなくなってきちゃった。シュウさんにも迷惑がかかるのに……。
……何分くらいたっただろう?
そうやって何度も泣きやもうとしていると、シュウさんが急に立ち上がった。
そして、少し驚いて動けなかったあたしの肩を抱き、あたしを立ち上がらせる。
そのまま抱き付いた状態で、今度こそ本当に驚いて動けないあたしにシュウさんは顔を近づけてきて――
「……んっ!」
――キスをしてきた。
突然のことに何だかよく分からなかったけど、少し経ってから『あの初心なシュウさん』が『キス』を『あたし』にしてくれてるのが分かった。
前にあたしがシュウさんにキスした時も、シュウさんはこんな感じだったんだろうか……?
……あと、人生で一回目と二回目のキスがお風呂場っていうのもなぁ。
と、そこまで考えて、さっきまでの不安が頭から消えていることに気づいた。
そしてシュウさんはあたしから唇を離し、
「どうだ? 落ち着いたか?」
笑いながらそう言ってきた。
いつもなら顔を赤くして慌てたりしているのに、どういうわけかそんな様子が全く感じられない。
そんなシュウさんにキスされたと思うのと、いつもよりカッコよく見えるシュウさんの笑顔に、顔が熱くならないはず
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