第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第六章 《圏内事件》
第40話 マイホーム1
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ちゃんと丁度いい温度になって気持ちよかったですし! ……でも、現実のお風呂と違ったせいで……その……」
言葉にできないと言った顔で、だんだん俺に言ってくる声が小さくなってきた。
「……まあ、脳に直接送られる情報が変わっていくんだから、違和感を感じるのは無理ないか」
「そ、そうです! まさにそんな感じです! よ、よく分かりましたね、シュウさん」
「βテストの時に少し経験したからな」
あの時はこんなに気持ちよくなかったけどな。
「…………さて、そろそろ上がるか。お腹も空いてきたし」
「なに言ってるんですか? まだ、背中流してませんよ?」
バレたか……早く上がって誤魔化そうとしたのに!
「い、いや……SAOの中で身体洗っても意味が……」
「いいですから! 速く座ってください!」
「……はい」
俺はシリカのあまりの迫力に、素直にお湯から出て、椅子がないので床に座る。
……な、なんでここまで意気込んでるんだ、シリカ。
俺がそう思っていると、シリカが俺の背中を洗うために後ろに来て、俺の求めていた答えを言ってくれた。
「シュウさん、怒鳴っちゃってすいません。……でも、あたしに出来ることってこれくらいしかありませんから……シュウさんにはいつも助けてもらってるのに……」
「シリカ……そ、そんなこと……」
否定しようとシリカの方を振り返ろうとすると、シリカが俺の背中に頭を付けて、真面目な……それでいて悲しそうな声で言葉を続ける。
「だから決して届かないと分かっていても、あたしと同じくらいの背中でも、大きくて広い背中を追いかけたい……そして、その背中を任して貰えるようになりたい。……それが、あたしのSAOでの一番の願いです」
あまりの真剣な声に、シリカが多分無意識なのかはわからないけど、俺に腕を回してきて抱き付いても、あまり緊張しなかった。
こんな時、俺はなんて答えればいいんだろう……? あまりに俺の会話スキルが足りなさすぎる。
なので、悔しいが俺はシリカの言葉をただ聞いていることしか出来なかった。
そんな俺に、シリカはさらに続けて言ってきた。
「……シュウさん、あたし達は現実《リアル》で会えるんでしょうか? 本当にゲームをクリア出来るんでしょうか? ……あたし、怖くて……」
「シリカ……」
「ごめんなさい。でも、この家を見て『ここでシュウさんと一緒に暮らすんだ』と思ったら、現実《リアル》でもこんな風に、一緒に住めるのかなとか色々考え始めたら……止まらなくなって……」
だからお風呂に入りたいなんて言ったんだな。
そんなことを考えが頭に浮かぶと同時に、シリカが泣き出していることに気が付く。
……こんな時に、何も声をかけられない自分がすごく腹が立つ。
自分の好きな女の子が、自分の背中
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