参ノ巻
文櫃
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とぽつりと言った。
「な、何を・・・?」
おそるおそるあたしは聞く。
「・・・」
「何で黙るのよ!」
「・・・瑠螺蔚よ、知っても逃げぬか?」
「にげっ・・・るようなことなの!?あたしが!?あたしに関係あるの!?」
「まぁ・・・関係、ある、といえばあるし、ないと言えば、ない、ような・・・」
「ちょっとどっちよ、はっきりしなさいよ!」
あたしが高彬を押しのけ、ほんの少し前に出たその瞬間だった。あたしは、瞬間移動してきたとしか思えない早さで近づいていたひとりの筋肉達磨に、あっという間に俵担ぎで持ち上げられた。
「ええ!?なによこれ、離しなさいよ!父上!?」
あばれても奴らにとっては蚊に刺されたぐらいなのか、びくともしない。そしてあれよあれよという間にあたしは部屋の入り口まで軽々運ばれた。
「忠宗殿!?」
状況がつかめていない高彬の戸惑う声が追い縋る。
「高彬殿・・・」
父上は悲愴な顔をして高彬を見ていた。そして意を決したように頭を下げる。
「すまんっ!」
え、ちょ、ちょー!すまんて、なんで高彬にすまんって・・・。
この状況、謝るべきは高彬じゃなくて、あたしにでしょっ!謝られても許すかは別だけどっ!
「もがっ!?」
あたしは男の一人に口の中いっぱいに布を詰められ、更に猿轡を噛ませられる。猿轡、ですって!?この前田の瑠螺蔚さまに!?実の父親が、大切な姫に、することじゃ、ないわよーっ!
そしてかよわいあたしは抵抗する術もなく、あたしを抱えた男どもと父上は津波のように佐々家をあとにしたのだった・・・。
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