Episode 2 狼男の幸せな晩餐
チョコレートペイン
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ットシー達は奴隷なので反応を気にする必要がないためこれもまた猫かぶりは必要ない。
「へぇぇ……アタシとキシリアの愛の巣に盗みに入るなんて、いい度胸してるわねぇ。 でも、惜しいワァ。 キシリアの奴隷になってなかったら丸焼きにして明日の昼飯にしてやるのに。 ケットシーってどんな味するのかしら? まだ食べたこと無いんだけど」
「「ヒイィィィィィィィ」」
フェリクシアのご機嫌な笑顔に般若のような凄味が混じり始めると、ケットシーたちは三匹で肩を寄せ合いながら部屋の隅でガタガタと震え始めた。
「まぁ、三匹もいるから一匹ぐらい食べてもいいよね? その分残りの二匹を馬車馬以上に働かせればいいわけだし」
そしてフェリクシアがボソリと呟いた瞬間、ケットシーたちはネズミ花火のように部屋中を逃げ回り始める。
「「ニャアァァァァァァ 助けてェェェェェ!!」」
「んふふふふふふ……一匹丸ごとじゃなくて、一口だけでもでいいわよ?」
その後ろをフェリクシアが追い回す光景を横目で眺め、キシリアはそろそろ寝床につくべく寝室に向かって歩き始める。
夜行性である彼等に付き合う気は毛頭ない。
シルキーであるキシリアも種族的には夜行性なのだが、人であった頃の名残かどうにも生活サイクルは昼行性なのである。
――疲れたな。 今日はあまりにも変な出来事が多すぎた。
欠伸を手で隠しつつ立ち去る背後から、ひときわ大きな悲鳴が響き渡る。
大方ケットシーがフェリクシアに捕まったのだろう。
まぁ、ほっといていいか。
実はフェリクシアってすごい偏食多いし、肉食動物が生臭くて筋が固いことも知ってるから猫なんて絶対に食べないし。
それよりも早く体を休ませなければ。
きっと……明日も賑やかな一日になりそうだ。
心の中で呟きながら、ベッドに入り込んで目を閉じる。
そしてキシリアがノルベルトのご乱心のせいで食べ忘れた湯豆腐の存在のことを思い出したのは、世界が薄明かりに照らされるころだった。
ちなみに湯豆腐は、帰宅直後で空腹だったフェリクシアに美味しく頂かれたとだけ記しておく。
その後の騒動については、また後に機会に。
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