Episode 2 狼男の幸せな晩餐
チョコレートペイン
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ただろ? ついでに状況を理解したかい? だったら、今すぐパンツを引き上げてその汚ねぇ(不適切な表現につき削除)をカタしておうちに帰りな! さもないと……」
そこで言葉を区切ると同時に、フェリクシアの股の間から真っ赤な蠍の尻尾が飛び出す。
しかもその先端から、ピッピッと透明な液体が数滴ほど飛び散った。
どうにも卑猥な光景なのだが、似合ってしまうだけに性質が悪い。
「アタシの毒針がテメェのケツにぶち込まれて、二度とキシリアの前に姿を見せられないような醜態晒すことになるよ」
目を落とせば、毒液が落ちた床が緑に変色していた。
こんなモノを直腸から直接摂取すれば、呆れるほどしぶとい人狼でも数日は寝込むに違いない。
まぁ、逆にそこまでしないと撃退できないような生き物なのであるが。
「言われなくても帰る。 すまなかったキシリアさん」
そう呟くと、ノルベルトは肩を落としたまま出口へ向かって歩き始めた。
「それでも、俺にとって君は特別な人なんだ」
フェリクシアが横に動いて通路を空けると、ノルベルトはそんな捨て台詞を吐きつつドアを潜って出て行った。
土砂降りの雨の中を歩きながら、ノルベルトはふと先ほどのキシリアを抱きしめた感触を思い出していた。
「せつねぇなぁ……」
呟きながら、掌をじっと眺める。
キシリアから叩きつけられたのは、普通なら心がポッキリと折れるような台詞なのだが、それでも消えることの無い何か胸の奥でくすぶるような感覚が残っている。
それは愛しているからなのだろうか?
それともただの執着なのだろうか?
願わくば、前者であってほしいものだが……
「ニャアァァッ! なにやらピンク色の怪しい魔力が漂っているニャア! 発情した雄犬のような匂いもするニャァッ!」
「敵襲!? 敵襲なのかニャ!?」
「あれ? そのおねーさん誰だニャ?」
ノルベルトが立ち去った後、ようやく殺気を帯びた気配に起き出したケットシーたちが、鍋の兜とお玉の剣を装備して二階から駆け下りてきた。
「なに? この珍妙な奴ら」
現れたケットシーたちを横目で睨み付け、フェリクシアが不機嫌そうに鼻を鳴らす。
魔獣というだけあって、他の生き物の匂いにはひどく敏感なのだ。
「あ、コレは奴隷。 少し前にこの店に盗みに入ったから、罰として手伝いをさせてるんだ」
気がつけば、キシリアの口調が、猫かぶりの女っぽいモノから本来の男口調に戻っていた。
女言葉を使わないのはキシリアが気を許している証拠であることを知っているのフェリクシアはその言葉に満面の笑みを浮かべる。
少なくともフェリクシアを愛人としては認めてないが、家族としては認めているらしい。
ちなみにケ
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